京阪ホールディングスは、京阪電鉄の親会社。京都―大阪間を結ぶ京阪電鉄は、これまでにも中之島やくずはモールといった沿線開発に力を入れてきた。特に、駅前に広大なショッピングモールが広がる樟葉(くずは)駅は、京阪グループが長い歳月にわたって開発を主導した京阪のシンボルタウンでもある。
沿線開発に力を注ぐことで利用者の掘り起こしに取り組んできた京阪だが、日本屈指の観光都市・京都を無視するわけにはいかない。今般、京都や大阪は訪日外国人観光客が急増中だ。活況を呈する大阪―京都間だが、乗り換えが生じる京阪や阪急に対して関空からの京都へ直接アクセスできるJRが優位であることは否めない。
そうした不利を跳ね返すべく、京阪はグループ全体で優位性を打ち出そうとしている。今年1月には、京都駅前に旗艦ホテル「ザ・サウザンド キョウト」をオープン。同地には、もともと京阪グループの京都第2タワーホテルが立地していた。それまでとは方向転換を図り、「ザ・サウザンド キョウト」は高級感を全面的に打ち出した。それだけに、京阪グループ京都の新拠点としての期待を背負っている。
「京阪グループ・京阪電鉄にとって、京都が重要な拠点であることは言うまでもありません。京都の拠点性をさらに高めるため、京阪グループは今年12月に複合商業施設『グッドネイチャーステーション』を開業させます。現在は、その準備を進めているところです。同施設にはレストランや美容サロン、ショップのほかホテルも入ります。京阪が手掛けるコスメやシャンプーも同ホテルのアメニティとして使用しますし、ショップで販売もします。京阪の新たな事業展開の第1弾といえる取り組みです」(同)
従来、鉄道会社の顧客は男性が多く、ゆえに鉄道会社の事業も男性をターゲットにしたコンテンツが多かった。近年、鉄道会社は女性を取り込むべく、さまざまなアイデアを打ち出している。京阪グループが発表した化粧品の製造・販売もそのひとつと言えるだろう。
鉄道事業者が化粧品の製造・販売を手掛けるのは、国内初の試みでもある。化粧品製造・販売で、女性のハートをキャッチし、新たなマーケットを切り開けるのか? そして、新しいビジネスモデルを創出できるのか? その成否に注目が集まる。