これまでのお仕事ドラマとは一味違った切り口で、働く人たちの心をワシづかみにしている『わたし、定時で帰ります。』(TBS系列、火曜10時)。「定時に帰ること」「有給を100%消化すること」をモットーにウェブ制作会社で働く東山結衣(吉高由里子)がヒロインのドラマである。
5月14日に放送された第5話のテーマはズバリ「セクハラ」だった。職場でのセクハラ問題が論じられるようになって20年以上が経過しているが、いまだにこの単語が聞かれなくなることはない。同話では「クライアントから“定時後”に誘われる」ところからセクハラへとつながっていく。現実社会でもクライアントから飲み会などに誘われることはあるだろう。異性のクライアントから「自分1人だけ」誘われれば誰でも警戒するが、断りにくいのも確かだ。
ドラマ第5話でもこんなシーンがある。ヒロイン・東山結衣が勤務するウェブ制作会社ネットヒーローズに派遣社員として勤める女性デザイナー桜宮彩奈(清水くるみ)が、クライアントであるスポーツ用品メーカー「ランダー」の中西(大澄賢也)らから飲み会に誘われる。東山やその上司の種田晃太郎(向井理)は「セクハラでは」と疑うが、桜宮本人も「私、飲み会が好きなんです」と釈明するのだった。
桜宮は東山に「相手に気をもたせるレベルでやめている。効率よく仕事をしたいんです。相手がこっちの意見を尊重してくれるようになれば、仕事もうまく進みますよね」と言い、“女性であることを仕事に活かしている”ことをほのめかす。「本意ではないが、これも仕事のため」というわけだ。
その後、重大な事件が起こる。中西が会社帰りのタイミングで電話してきて、「今からジョギング会に参加しないか」と桜宮を誘ってくる。駆け付けた桜宮に「商品モニターの子が急遽、来られなくなってしまった。代わりに試作品のウェアを着てみてくれないか」といって、露出度の高いウェアが渡される。桜宮は「いいよ、別に嫌だったらやらなくても」という中西の言葉にうろたえるが、結局、引き受けてしまう。