平成が終わり、令和という新しい時代が始まった。平成とはどんな時代だったのか。諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が、平成の場当たり的体質について振り返り、未来について考えた。
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平成という時代の終わりに、2人の政治家が辞任に追い込まれた。一人は塚田一郎参院議員。下関北九州道路の整備について「首相や副総理が言えないから、私が忖度しました」と手柄話のように語り、国土交通副大臣を辞任した。
本人は「大きな会合で雰囲気にのまれ、事実と異なる発言をしてしまった」と釈明しているが、本音が漏れてしまったのだろうという見方もある。
そもそも忖度に流儀があるとすれば、黙って相手の意を汲む、暗黙のルールのようなものがあると思うのだが、この人は、忖度を自慢してしまった。ぼくは一昨年、『忖度バカ』(小学館新書)という本で、忖度が生まれる心理と構造について書いたのだが、忖度を吹聴するのは新手の忖度バカである。
もう一人は桜田義孝前五輪大臣。官僚のペーパーを読むだけの大臣というのはいるが、桜田さんに関してはペーパーもまともに読めなかった。数々の失言を連発し、挙げ句の果てに東北の復興を軽んじる発言をして、自らとどめを刺した。