今週末はすべてのホースマンにとっての夢舞台であるダービー。平成28(2016)年に生まれた約7000頭のサラブレッドの頂点に立つ馬が決まる。週刊ポストで『60歳からの「儲ける競馬」』を連載する競馬歴40年のライター・東田和美氏が今年のダービーの行方について占う。
* * *
ダービーではここ4年ずっとノーザンファームの生産馬が勝ち続けている。ノーザンファームはこの春も大阪杯からGIを7連勝中。ダービー5連覇に向けて、サートゥルナーリア、ヴェロックス、リオンリオン、ランフォザローゼスなど有力馬を揃えた。とくにサートゥルナーリアは4戦4勝。年明け初戦の皐月賞前、陣営は不安でいっぱいだったというが、それをクリアしたことで、今度は「上積み」もある。
過去30年を見るとダービーはGIのなかでもっとも堅いレースといえる。1番人気馬が16勝2着5回、2番人気馬が3勝2着5回、3番人気も7勝2着6回と、上位人気馬が確実に上位を確保している。単勝払戻が1000円以上だったのは、わずかに5回。8番人気以下が勝ったことは一度もない。馬連の万馬券は5回だけだ。
皐月賞は戦前ではサートゥルナーリアの1強ムードだったが、3着までが同タイムの激戦。ダービーもこの「3強」が人気を集めているが、過去30年で1~3着が1~3番人気で決まったこと4回、1~3番人気のうち2頭で決まったことが13回もある。
ダービー馬のうち23頭の前走が皐月賞。他の7頭のうち4頭はNHKマイルカップか京都新聞杯を、1頭はOPすみれSを勝っている。「前走が皐月賞ではないレースで、しかも勝っていない」2頭のダービー馬というのは、タニノギムレットとウオッカの父娘だけというのは不思議なめぐりあわせだ。皐月賞組23頭のうち連勝して2冠を達成したのは9頭、17頭が3着以内だった。
トライアル組が勝てないことでも知られている。青葉賞からは平成30年間で73頭が参戦しているが、0勝2着7回3着4回。あのシンボリクリスエスやゼンノロブロイでも勝てなかった。早い時期に賞金を積み上げ、早いうちからこの日に向けて態勢を整える必要があるのだ。その点でも「ダービー前に中山に2回輸送したくなかった」というサートゥルナーリアの準備は万全だ。
そんなことで無謀な穴狙いはおすすめできないのだが、「平成最後のダービー」となった昨年は、30年間で初めて1~3着に1~3番人気が絡まなかった。終わってみれば皐月賞の1番人気と皐月賞馬のワンツーだったが、馬連は7950円、3着に16番人気が飛び込んで三連単は285万馬券となった。ついでに言えば、勝ったワグネリアンは父ディープインパクト、母の父キングカメハメハ。どちらもダービー馬だというのは史上初とのことだ。
これは、時代が変わる前兆だったのかもしれない・・・・そこで重箱の隅をつついてみることにする。
まず1番人気馬の単勝オッズが2倍を切ったのは5回あって4勝、さすがにダービーで人気になるような馬は、大舞台できっちり人気に応えている。
一方、2倍台は15回あって7勝。サートゥルナーリアはデビューから4戦すべて2倍を切っているが、今回皐月賞の上位3頭で人気を分け合って、2倍台ということになったら、1番人気でも少し危ういという指針になる。