人気のYouTuberをジャンルわけすると、創作物を披露する発表系、「やってみた」「歌ってみた」「踊ってみた」などのチャレンジ系などがある。そして、派手さはないが確実にニーズが高いのが教育系だ。塾講師などその教科の専門家が提供することが多かった教育系動画に、最近、芸人であるオリエンタルラジオの中田敦彦が加わり、注目を集めている。イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、『中田敦彦のYouTube大学』がもつ特異性について考えた。
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梶原雄太(キングコング)がYouTuberとしてそれなりの成功を収めて以降、追随するように多くの芸能人がYouTubeに参戦している。そのなかでも人気を集めているのが中田敦彦(オリエンタルラジオ)。2019年5月分の登録者増加数ランキングでは1位を獲得、今最も勢いのあるYouTuberとなった。
タレントがYouTubeに参戦する際のメリットは多い。1本目の動画から視聴者がいる、ネットニュースで記事化など書き出せばキリがない。ただ、最も大きなメリットは自身のキャラクターを既に認知されている点である。
女性モデルなら“メイク術”、ママタレントなら“生活の知恵”、どんな動画が配信されるのか視聴者が想像できる。タレントはニーズに合わせた動画を配信すればいいので、需要と供給が早めにマッチ。自身にキャラクターをつけようと四苦八苦している無名YouTuberを観たことがあれば分かるハズ。YouTuberとは動画の内容以上にキャラクター性が求められる商いである。
中田敦彦の話に戻そう。
視聴者の需要に応えるタレント中田、動画でも慶応大学出身のインテリキャラクターを打ち出す。チャンネル名は『中田敦彦のYouTube大学』、やることが明確なのだ。
処女作の動画タイトルは「緊張せずに人前でプレゼンをするためのメンタルコントロール」。『しくじり先生』『やりすぎ都市伝説』で披露された中田のプレゼン能力。その秘訣を紹介する内容である。話し方、滑舌、ロジックと「やっぱりプロだなぁ~」と唸ってしまう内容。しかし、それ以上に感心したのが“顔”。
イケメン芸人と呼ばれることは少ない中田だが兎に角“顔”がキレイ。他の男性YouTuberと比べて清潔感が段違い。長年、多くの人の視線に晒されてきただけにメディアに出る人の造形となっている。個人的に“顔”に気づけたことは発見だった。
『中田敦彦のYouTube大学』は国語、歴史、科学、音楽、美術といった科目別に動画を配信。当初は国語「難読漢字BEST3」、歴史「中国王朝の覚え方」、科学「相対性理論を一言で説明」、音楽「サカナクションの好きな曲BEST3」、美術「天才ピカソを徹底解説」と科目をバランスよく公開。全ての動画は10分前後に収まっていた。
しかし、27本目の歴史「キリスト教のカトリックとプロテスタントとは?」の動画が51万再生と大ヒット。視聴者の需要が歴史にあると気づいた中田は歴史動画に傾倒していく。現在ではヨーロッパ史、中国史、インド史と人類の過去を日々、中田流に紐解き続けている。