「瓢箪から駒」の解散・総選挙になりそうだ。
「消費税を議題に解散するのは愚の骨頂だが、解散の大義は1日あれば作れる。首相が決断したら反対しない」
選挙の指揮を執る二階俊博・自民党幹事長の記者会見(5月22日)の発言の変化がそれを象徴している。わずか1か月前、「幹事長の知らない解散なんかない」とダブル選挙を完全否定していたのと同じ人物とは思えぬ豹変ぶりだが、何が起きたのか。
解散説の火付け役は、安倍首相の“側近中の側近”とされる萩生田光一・幹事長代行の「消費増税延期」とダブル選挙発言(4月18日)だった。だが、当時は政権幹部も自民党執行部も萩生田発言を“戯れ言”として相手にしていなかった。
菅義偉・官房長官はその日の会見で「消費税率を10%に引き上げる政府方針に全く変わりはない。国会で首相や私が責任をもって答えており、それがすべてだ」と否定。二階氏は前述のように不快感を示し、麻生太郎・副総理は、苦虫をかみつぶしたような顔で「(増税準備した)企業は迷惑している」と言い放った。
重鎮からの“陣笠は黙ってろ”と言わんばかりの扱いを受け、当の萩生田氏も「個人的見解」と釈明に追われ、風は止むかと思われた。
ところが、元号が「令和」になった途端に政権中枢幹部たちが姿勢を一変させる。
平成最後の日となる4月30日、麻生氏が安倍首相の私邸を訪ね2時間密談した。2人は米国から帰国直後で、麻生氏は翌日からフィジーに出発を控えた強行軍の合間を縫った会談だった。そこで話し合われたのが解散問題だという。2人に近い甘利明・選対委員長はTBSのCS番組でこう明かしている。