「衆参ダブル選挙」がにわかに現実味を帯びてきた。この突然の解散風が永田町に嵐を巻き起こしている。与党内でさえ様々な思惑が交錯し、それぞれが勝手にダブル選後の皮算用を始めている。
この猛烈な解散風を自民党内で煽っているのは、萩生田光一・幹事長代行や下村博文・元文科相ら細田派の安倍側近だ。
火付け役となったのは、萩生田氏の「消費増税延期」とダブル選挙発言(4月18日)だった。
萩生田氏は最近になり再び「(消費増税が)決まっているから、なりふり構わずゴールテープを切るという姿勢はよくない。どんな小さな数字の変化も政府は謙虚に受けとめるべき。米中(貿易摩擦)の余波も見ないといけない」と増税延期論をぶち上げ、下村氏は「党内で憲法改正を争点に衆参同日選に打って出るべきという声がある」と改憲解散論を唱えた。
実は、その細田派は自民党内で唯一、早くから総選挙準備に取りかかっていた。
同派は4月9日と10日、選挙基盤が弱い当選1~3回の若手議員約30人を集めて政治塾を開き、下村氏ら幹部が秘書の養成方法や地元の地方議員との付き合い方など選挙組織作りを指南していたのだ。
それからほどなく、萩生田氏が解散風を吹かすというタイミングの良さだった。安倍晋三首相の“指南役”の1人でもある評論家・屋山太郎氏が首相の胸の内をこう読み解く。