5月24日午後6時。千葉・幕張イベントホールの特設アイスリンクにスケーターたちが次々と現れた。最後に登場したのは、羽生結弦(24才)。彼がいきなり4回転トウループを完璧に着氷すると、会場からは悲鳴にも似た歓声があがる。
そして午後8時54分、羽生は赤と黒の衣装に身を包み、大トリとして再びリンクに登場。Toshlが歌う『マスカレイド』に合わせて華麗に舞う。トリプルアクセルを美しく着氷すると、4回転ルッツにも2回挑戦。残念ながら成功とはいかなかったが、その後も芸術的な演技で観客を魅了した。演技終了後、大歓声に包まれた羽生は、背後で熱唱していたToshlに満面の笑みを投げかけていた。
この日、行われていたのは「ファンタジー・オン・アイス2019」(以下FaOI)の初日公演。2001年から開催されている国内外のトップスケーターが一堂に会する華やかなアイスショーだ。今回も紀平梨花(16才)、宮原知子(21才)ら日本のトップ選手に加え、平昌五輪金メダリストのアリーナ・ザギトワ(17才)や、“皇帝”エフゲニー・プルシェンコ(36才)ら世界の舞台で活躍する面々がそろった。その豪華な顔ぶれの中でひときわ熱い声援を浴びていたのは、やはり羽生だった。
「羽生は、3月の世界選手権では足首のけがの影響もあり、アメリカのネイサン・チェン(20才)に敗れて2位に終わりました。4月の国別対抗戦を回避したため、今回のショーの出演も危ぶまれていましたが、本人の強い希望で、10回目となる出演を果たしたのです」(スポーツ紙記者)
FaOIは、千葉・幕張公演を皮切りに、全国4都市で開催。どの会場もチケットは即完売の人気ぶりだが、事前情報の公開が制限されるなど、情報管理は徹底されていた。
このショーの最大の見どころはアーティストの生演奏とスケーターとのコラボレーション。今回、Toshlと羽生のコラボは当日まで公表されず、トップシークレット扱いだった。