資産寿命を延ばすための柱は「収入を増やす」、「支出を減らす」とともに、「賢く遺す」もまた重要だ。相続で子供に損をさせないための親の「終活」方法と、遺された家族が葬儀、相続、墓などでトラブルを避けるにはどんな手続きが有効なのかを探った。
ポイントは、40年ぶりに改正され、今年7月から実施される相続法(民法改正)の新制度をフルに活用する手続きだ。それを知っておけば、親は子供たちの遺産争いを防ぎ、子供たちは円満な相続で心安らかに親を見送ることができる。
「死ぬ前」と「死んだ後」の手続きを進める上でどちらも重要なのは、自分の意思や希望を家族と共有しているかどうかだ。
葬儀社の選定に、葬儀の規模や形式、その後のお骨の扱いから遺産の分け方まで、事前に取り決めていれば理想の形で送り出してもらえるし、家族にとっても面倒な手続きを避け、無駄な支出を抑えることにつながる。
そのためにまず重要なのは、自らの“持ち物”を把握しておくことだ。銀行口座の整理や不動産の名義確認を怠っていると、死後、家族が遺産の把握に四苦八苦する上、相続の段取りが煩雑になる。
自らの資産の全貌を明らかにできれば、生前にあらかじめ教育資金や結婚・子育て資金の「一括贈与」や「暦年贈与」を行なうことで、相続税を大幅に節税することもできる。