韓国で再び反日ムードが高まっているが、『韓国「反日フェイク」の病理学』が話題の韓国人ノンフィクションライター・崔碩栄氏は現在の韓国の反日を「人為的」なものだと断言する。いったいどのように「作られた」ものなのか。
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たまに、日本に対して強い反感を持った韓国人に会うことがある。彼らは豊臣秀吉の朝鮮侵略から始まって、日韓併合、朝鮮総督府の朝鮮統治、慰安婦、独島(竹島の韓国名)などの話を持ち出して日本への憎しみを語るのだ。
そんな時、私は言ってみる。一度、1945年8月15日以降の日本だけを見てみようと。そして、日本が韓国に与えた被害、そして日本の過ちは何かと。すると、たいていの場合、彼らは言葉を失う。せいぜい「日本は独島が自分の土地だと主張している」、「過去への反省がない」といった程度だ。
独島問題にしても過去への反省にしても、1945年以前の出来事に由来するものであるから除外するとして、実際に1945年以降の日本の行動の中で指摘してみろと再び聞いてみると、これ以上の言葉は出てこない。個人的なやり取りは別として、終戦後、日韓の直接交流や取引などで、韓国が日本からこれといった被害を受けたことなどほとんどないのだ(逆に1945年8月15日以降、韓国は日本からの経済支援、協力などを受けているが、これらについて韓国人のほとんどが知識を持っていないことも大きな問題かもしれない)。
私がこんなふうに言うのは、韓国社会において日本に対する態度と、北朝鮮に対する態度があまりにも違う、つまりダブルスタンダードに基づいているからだ。
1945年の太平洋戦争終戦後、韓国が最も大きな被害を受けたのは、1950年に北朝鮮が起こした朝鮮戦争の時だ。
韓国は朝鮮戦争で北朝鮮と中国軍により壊滅的な被害を受けた。兵士、民間人合わせて死者のみで52万人、行方不明者43万人を合わせると100万人近くにも上る犠牲者が発生した(ちなみに北朝鮮側の犠牲者は死者70万人、行方不明者80万人で韓国よりはるかに多い)。これは太平洋戦争に動員され死亡した朝鮮人2万2000人を大きく上回る。