日本で生誕して65年、全世界を熱狂させるGODZILLAが映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』として再びハリウッドで覚醒。そして渡辺謙(59才)も雄叫びをあげた──。
興行収入82.5億円という『シン・ゴジラ』(2016年)の驚異的ヒットから3年。日本が世界に誇る“ゴジラ”が、再びハリウッドに舞い戻った。しかも前作『GODZILLAゴジラ』(2014年)から引き続いて、芹沢猪四郎博士として物語の重要な鍵を握るのは、渡辺謙、この男だ。
「『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は、怪獣は出てきますけど、単なるSF的フィクションの話だけではない、とぼくは思っているんです。我々が漠然と思っている、不安とか恐怖とかの代償を描いているんじゃないかって。
日本では地震や津波だったり、アメリカではハリケーンだったり、全世界、いろんなところで自然災害が起きていて、どうやっても抗えないものじゃないですか。対策とか予知はある程度できるかもしれないけど、防ぐことはできていない。そういう真相みたいなものをぼくらに訴えかけてるんじゃないか、そう思えてならないんです。ぼくらは今、何を選択すべきか、もっと悩むべきじゃないかな」(渡辺・以下同)
そんな、人智を超えた圧倒的な“脅威”=怪獣が今作では4体も登場する。
「登場シーンはそれぞれ、なかなかの見応えがありますよ。それこそ歌舞伎で、揚幕をチャーンと垂らして、花道をタタタタタタタッて上がって見得を切るような感じ。異形だし巨大な生物だから恐怖もあるはずなのに、思わず見惚れるような美しさも感じるんです。監督のマイケル曰く、怪獣たちの空を飛ぶときの羽ばたき方や滑空の仕方などは、いろいろな自然界の動物の形や動きから造形したそうです」
近年はハリウッドだけでなく、ロンドンやニューヨークなど、年の半分は海外で活動するという渡辺。来年公開のハリウッド映画『ゴジラVSコング(仮)』には、小栗旬(36)の出演が決定するなど、日本人の海外進出は急増している。海外で通用するために必要なことを尋ねると──。
「どんな作品であっても、自分が俳優として想いを込めたということをきちんと説明できないとナメられちゃうよね。日本だと失敗談とか、そのときに食べたものは~とか、作品の本筋と違う軽い話をする風潮もあるけど、海外では通用しない。むしろ、その作品の文化的価値を保っていけないと思うんだよね。
あとは、いい意味での鈍感力かな。打たれ強くなること。苦しいこと、挫折すること、うまくいかないことなんて山のようにあるし、環境も変わる。そんななかで普段と同じクオリティーでシューティングして、次の日も行ってっていうのを繰り返せる力。正直、100やって10採用されるかどうかだよ(笑い)」
歯切れのいい言葉で我々を圧倒する“世界の渡辺”。それはまるでゴジラの叫びのようだった。
撮影/佐藤航嗣(UM)
※女性セブン2019年6月13日号