全国で30℃を超す「真夏日」が続いている。5月にも関わらず東京では4日連続で30℃以上を記録(5月27日)。観測が始まって以来、はじめてだという。北海道でも39.5℃(5月26日)を記録した。梅雨入り前にもかかわらず、「夏バテ」のような疲れに悩まされている人も多いだろう。
特に女性は、疲れを感じやすい傾向がある。2019年5月に養命酒製造が発表したアンケート調査では、東京で働く女性たちの73%が慢性的な疲労に悩み、「一晩寝ても疲れが取れない」と回答している。
『疲れない大百科』(ワニブックス)の著書がある工藤内科副院長の工藤孝文さんによれば、“疲れ”の大きな原因はエネルギー不足と代謝の低下だという。
「糖質やたんぱく質などが不足すると、体内では代替のエネルギーとして『ケトン体』という物質が作られます。しかしケトン体は生成する時にだるさや疲労感、頭痛を引き起こしてしまうのです」
つまり、極端な節制や栄養不足はそれだけで慢性的な疲労や不調を招くということ。
「加えて、摂取したたんぱく質や糖質をエネルギーに変えるためにはビタミンやクエン酸、ミネラルなどの栄養素が必要になります」(工藤さん)
つまり、疲労回復のためには「たんぱく質」「糖質」「クエン酸」「ビタミン」「ミネラル」をいかに摂取するかが重要になる。しかしこれらは数多の食材に入っている。一体、どれを食べればいいのか。
そこで、26人の「食と健康のプロ」に「疲労回復を促す食べ物」を挙げてもらい、1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として集計、「疲労回復力を上げる食べ物ランキング」を作成した。
◆豚の“疲労回復ビタミン”が最強
今回、「疲労回復力を上げる食べ物ランキング」で首位を争ったのは、「豚肉」と「鶏胸肉」。豚肉は58点で1位、鶏胸肉は45点で2位だった。どちらにも「良質なたんぱく質」という美点があるが、管理栄養士の中沢るみさんは豚肉を推す。
「スタミナをつけてくれる肉類のなかで群を抜いているのが、豚肉。上質なたんぱく質が摂取できるのはもちろん、『疲労回復ビタミン』と呼ばれるビタミンB1が牛肉の10倍も含まれているのがありがたいです」
一方の鶏胸肉は「脳の疲労を回復してくれる」と管理栄養士の望月理恵子さんは言う。
「豊富に含まれる“イミダゾールジペプチド”という成分は、脳の疲労を回復させる働きがあることが実証されています。疲れを取るために必要なイミダゾールジペプチドの量は1日200mg。鶏胸肉なら100gに相当します。これを2週間食べ続けると、効果が出てくるといわれています」
たんぱく質とともに疲労回復のカギを握る糖質。専門家たちが選んだのは「白米」(11点でランキング8位)だった。管理栄養士の磯村優貴恵さんがその理由を解説する。
「白米なら、体にとっても脳にとっても効率のよいエネルギー源となる糖質を摂り入れられる。おにぎりにして具材に梅干しや鮭などを入れて工夫すれば、同時にたんぱく質やクエン酸も摂れます」