モテクリエイターを名乗る実業家で、インスタグラムやツイッターなどのSNS総フォロワー数100万人を超えるインフルエンサー「ゆうこす」が、「ファンだからと言って人を傷つけて良いわけがない。そんなのは、完全にDVなんです。言葉のDV」とつぶやいて話題になった。オシャレで居心地が良いとされてきたインスタグラムにも「厄介ユーザー」が現れ、ゆうこす以外のインフルエンサーたちも日々、悩まされている。最近では、ネットの外でも怖ろしい思いをさせられることが少なくない。現実世界でも脅威になりつつある「厄介ユーザー」の実態を、ライターの森鷹久氏がレポートする。
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「最初はインスタに“かわいい”とか書き込んでくるユーザー“Xさん”というだけの認識でした。ツイッターを始めたら、同じ名前のアカウントからフォローされて”頑張って”とかDMが届いた。ファンの方だと思い嬉しかったんです」
現役女子大生のミチャさん(仮名・20代)は、いわゆる「インスタグラマー」である。キュートな出で立ちもさることながら、インスタ映えするセンスの良い写真が好評で、アパレルブランドや化粧品メーカーから“宣伝”をお願いされることもある。有名人と言えば有名人だが、芸能人かと問われればそうではない。しかし場合によっては、そんじょそこらの芸能人より露出は多く、ネット空間で芸能人以上の衆人環視の中にいる。そうした今風な存在の彼女たちが悩むのは、SNS上にいる危険な人たちだ。
「最初は返信していたんです、ありがとうとか、応援してくださいとか。フォロワーが増えて、返信を返すことが難しくなり、いいね返しだけしていたのですが…」(ミチャさん)
ミチャさんの元に突如送られてきたのは、Xを名乗るユーザーからの脅迫めいたダイレクトメールだった。
「俺を無視するな、人気が出るとそれか、みたいな…。そもそも男性であることも知りませんでしたし、ごめんなさいと返信したのですが、その後も一方的な恨みメッセージが送りつけられ、インスタのコメント欄にも”ブス”とか”バカ”とか誹謗中傷されるようになって…」(ミチャさん)
懇意にしているインスタグラマーの友人に相談すると「無視するに限る」とアドバイスされた。起きていることは理不尽きわまりないのに、自分を守る手段がなさすぎるのだ。こういったトラブルが起きると、ネットで無防備なことをするからだと自己責任を問う人が必ず出てくるが、それも理不尽な言いがかりだ。ネットではなく日常生活に置き換えてみれば、自己責任という、一見、きちんとしているかのように聞こえる言葉で済まされることではないことがわかる。
たとえば、綺麗な格好をして可愛いメイクをして街を歩いていたところ、見知らぬ男から声をかけられた。最初は笑顔でやり過ごしていたが、無視するようになると文句を言われるようになり、一挙手一投足に罵詈雑言を投げかけてくるようになった。これを、異常行動といわずしてどう表現しようか。
また、異常な行動への対処法についても、無視するに限るとする被害者心理は当然でもある。これも、ネットではなく日常生活に置き換えれば分かりやすい。