5月24日、千葉・幕張イベントホールの特設アイスリンクにて「ファンタジー・オン・アイス2019」(以下FaOI)の初日公演が開催された。FaOIは、2001年から開催されている国内外のトップスケーターが一堂に会する華やかなアイスショーだ。
今回も紀平梨花(16才)、宮原知子(21才)ら日本のトップ選手に加え、平昌五輪金メダリストのアリーナ・ザギトワ(17才)や、“皇帝”エフゲニー・プルシェンコ(36才)ら世界の舞台で活躍する面々がそろった。その豪華な顔ぶれの中でひときわ熱い声援を浴びていたのは、羽生結弦(24才)だった。
FaOIの最大の見どころはアーティストの生演奏とスケーターとのコラボレーション。今回はToshlがサプライズ登場し、羽生とコラボを見せたが、舞台裏ではアクシデントが起きていた。
実は、初日はToshlが歌う『クリスタル・メモリーズ』でという楽曲で羽生選手が踊る予定だったのだが、急遽『マスカレイド』という楽曲に変更されたというのだ。
「前日のニュース番組がリハーサルの様子を報じた際、練習する羽生選手のバックで『マスカレイド』が流れていたんです。その後のインタビューで羽生選手が『オペラ座の怪人の続編』と発言したこともあり、『コラボ相手はToshl? しかもマスカレイドで踊るの!? 見たい』という声がファンの間を駆け巡りました。
それを知った羽生選手は、当日になって『ファンの皆さんがToshlさんのマスカレイドで踊るのを期待して見に来る。その期待に応えたいんです』と曲の変更を依頼したところ、Toshlさんは二つ返事でOK。それで、初日と2日目の曲を入れ替えたんです」(フィギュア関係者)
◆羽生が打ち明けた なぜマスカレイドか
高い歌唱力を誇るToshlといえども、当日になって曲目を変更するのは容易なことではない。それでも、彼が羽生の依頼を快諾した裏には、こんな思いがあったようだ。
「初日のリハの時、Toshlさんが握手を求めると、真っ赤に腫れ上がった右手を羽生選手が差し出してきた。練習で何度も転び、冷たい氷に手をついていたからでしょうか。でも、彼は一切弱音を吐かない。Toshlさんが『体調は大丈夫?』と聞いても、『一生懸命やることしか能がないので』と笑顔で答えていたそうです。
満身創痍でも常にベストを尽くそうとする羽生選手の真摯な姿を見て、彼のファンへの思いやプログラムへのこだわりも知り、言葉を失ったそうです。その熱い気持ちに応えたかったんでしょう。当初、長期にわたるツアーでの体調を考慮し、キーを下げて歌う予定だったのに原曲のキーに合わせて歌う、と言い出したのは、羽生選手へのリスペクトの表れです」(前出・フィギュア関係者)