BMWといえば、メルセデス・ベンツ、アウディとともに「ジャーマンスリー」といわれるドイツ車を代表するプレミアムブランドだが、近年は格下ブランドの追い上げも激しく、上質感で差別化を図るのが難しくなりつつあるという。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が、BMWの代表格である高級セダンに試乗して辛口レポートする。
* * *
世界的に強まるCO2(二酸化炭素)排出量規制。乗用車分野でその影響をモロかぶりするジャンルは、言うまでもなく中大型乗用車や高性能車などのプレミアムセグメントだ。
これらは宿命的に消費エネルギーが大きくならざるを得ないため、電動化や内燃機関の高効率化など、投入できる技術は高くても何でも入れていかなければならず、高コスト化は避けられない。
一方で、自動運転化やシェアリングの時代を迎えても、自分の経済状態に合わせてより良いモノ、サービスを求めるというニーズが消えるわけではないので、マーケットは確実にある。これらの領域をビジネスの主体としてきた自動車メーカーは、痛し痒しの非常に難しい状況に置かれている。
そんなブランドのひとつであるドイツの老舗、BMWのプレミアムEセグメント(全長おおむね5m弱)級セダン、「5シリーズ」を1500kmあまり走らせる機会があった。本拠地の欧州市場ではメルセデス・ベンツ「Eクラス」と販売を競っている。
テストドライブしたのは排気量2リットルのターボディーゼルを搭載した「523d」で、強化サスペンションを持つ「M Sport」という仕様。コースは東京を起点とした関西周遊。途中、和歌山の高野山などの山岳ルートも長駆してみた。