中国を代表する酒として国際的にも有名な茅台酒を製造する「貴州茅台酒集団」のトップが5月下旬、汚職などの腐敗行為を取り締まる中国共産党規律検査委員会によって身柄を拘束され、取り調べを受けていることが明らかになった。
同社は酒造メーカーとしては中国ナンバー1で、時価総額も半年前に比べて2倍の16兆円にも達する巨大企業だ。そんな会社のトップなだけに、「彼が手にした不法利益は巨額で、色と金、権力も関わる一族ぐるみの腐敗」と伝えられており、その具体的な罪状に注目が集まっている。中国紙「新京報」が「独自ネタ」として報じた。
取り調べを受けているのは袁仁国・貴州茅台酒集団会長。袁氏は1956年10月生まれの62歳。1975年、19歳で同社に入社し、昨年5月に会長まで上り詰めた同社の叩き上げ。その経営手腕は高く評価されているが、豪腕ぶりも有名で、周囲の幹部と経営方針をめぐって、しばしば衝突するなど、「敵も多い」ことでも知られている。
袁氏の会長就任後、李貴勝・副社長や、季克良・名誉会長、元社長の劉自力・技術顧問ら多数の経営幹部が辞職に追い込まれている。
これとほぼ時を同じくして、ある貴州省高官に対して、袁氏の腐敗に関する情報がもたらされており、党規律検査委が袁氏の周辺を内偵捜査し、容疑が固まったことから袁氏の身柄拘束にいたったという。
新京報は袁氏の容疑について、「政治規律および法秩序に対して重大な違反を犯しており、貴州茅台酒集団での経営権を得るために、政治権力などを使った他の幹部を陥れた」と述べた。さらに、「金や色で貴州省の幹部をたらしこんで、違法な行為を行い、重大な規律違反を犯した」などと指摘している。