陽気なマスター、腹の中を見せぬ参謀、後継問題に悩む男、そしてエリート外交官…。人気モデルから転身し、二枚目俳優として華々しくデビューした加藤雅也(56才)は、今や主役も脇役も、そしてしゃべりもいける名優となった。作品では決して見ることのできない、彼の素顔に迫る──。
今年3月に終了したNHKの連続テレビ小説『まんぷく』では、「ユーアーコーヒー! オッケー」とポーズを取る姿印象的な陽気なマスターを演じた。その“オッケー”の影響力は大きく、大河ドラマ『いだてん』(NHK)第2部にも出演が決まった。
今度は、英語、フランス語、イタリア語を流暢に操るエリート外交官・杉村陽太郎役。31才の時に米国修業をし、英語が堪能な加藤に当て書きしたような役どころ。加藤はこう話す。
「いやいや、普段ぼくが話している英語は中学レベルの単語を組み合わせて話すくらいですけど、外交官は大学レベルの難しい単語と構成なんです。それでいて“かっこよく”流れるように言葉のリズムをとらなければいけない。言葉と密接にリンクするボディーランゲージもあります。
そのクオリティーをフランス語とイタリア語にも求められるんですが、この2つは単語の意味を調べることから始まるので…普段のセリフ覚えより3~4倍の労力がかかりますね(苦笑)。ひとつのセリフの中に、日仏英とか仏伊とか、複数の言語が混在する時は、正直混乱しますわ(笑い)。
まあ、中川家の礼二さんのように、中国語や韓国語っぽく話せればいいんでしょうけど(笑い)。母国語のかたが聞いてまったくわからないっていうのは嫌ですからね。本番が怖くもあり、楽しみです」
探究心の塊で努力家、関西人ならではのサービス精神。これからも我々を驚かせてくれるのは間違いない。
【プロフィール】加藤雅也/かとう・まさや。1963年、奈良県出身。横浜国立大学在学中の1986年にモデルデビュー。1988年に映画『マリリンに逢いたい』でデビューし、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。『クライムブローカー/仮面の誘惑』(1993年)で海外作品デビュー。2006年に結婚し、長女をもうける。俳優生活30周年の今年、映画5本、ドラマ2本に出演。奈良市観光特別大使としても精力的に活躍中。
撮影/木村直軌
※女性セブン2019年6月13日号