サッカー日本代表監督に森保一氏が就任してから10か月。6月5日のトリニダード・トバゴ戦、9日のエルサルバドル戦をこなし、現地時間14日からブラジルで開催されるコパ・アメリカ(南米選手権)に臨む。ワールドカップの惜敗から早1年、強豪との真剣勝負を控える日本代表の現在地はどこにあるのだろうか。
森保監督になってからの成績は11勝1分け2敗。アジアカップでは惜しくも準優勝に終わったが、結果だけ見れば順風満帆と言うこともできる。しかし、勝てていれば全て良しと簡単に結論づけるのは早急ではないだろうか。
サッカー戦術分析ブログ「サッカーの面白い戦術分析を心がけます」を主宰し、著書『アナリシス・アイ』を上梓した、らいかーると氏は森保ジャパンの特徴についてこう分析する。
「森保監督になってからの日本代表にキャッチコピーをつけるとすれば、『積極性』となるでしょう。特に目立つプレーは、ドリブルによる仕掛けからのミドルシュートです。堂安律、南野拓実、中島翔哉と、ドリブルで仕掛けられる選手たちが自分たちの長所をいかんなく発揮しているように見えます。その長所は、ビルドアップからの展開でも、ボール奪取からのカウンターでも、チームの武器として計算されています」(らいかーると氏、以下同)
確かに、「新ビッグ3」と呼ばれる堂安、南野、中島の3人が攻撃を牽引している日本代表は、従来の代表より積極的にゴールを狙っている印象を受ける。森保ジャパンになってからのシュート数のランキングのトップ3も彼らだ。
しかし、愚直にゴールを狙うことが必ずしも良いとは限らない。
「突破のドリブルとミドルシュートで試合に勝てそうなら、どんどんやるべきでしょう。そういったスペシャルな選手は、ビッグクラブには必ず存在しています。問題は、日本の選手たちがそういったスペシャルな選手に肩を並べる存在であるかどうかにあります。
例えば、ミドルシュートは簡単にはゴールに入りません。シュートはできれば、決まる確率の高いペナルティーエリアの中から打ちたい。ゴールから遠ければ遠いほど、ゴールになる確率が低いのは自明です。また、ドリブルによる仕掛けも、自分がミドルシュートを打つためなのか、相手を引きつけるためなのか、ペナルティーエリアに侵入するためなのか、目的で意味合いは変わってきます」
3月22日のコロンビア戦においても、日本は16本ものシュートを積極果敢に放っていた(コロンビアは9本)。しかし結果は0-1の敗戦である。闇雲にシュートを打つのではなく、ゴールを奪うために何をすればいいかという目的から逆算して、チームで戦術を実行した上で個々のスキルを発揮することが重要という指摘だ。