『ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり・発汗)』『肩や首のコリ』『腰・手足のしびれ』『イライラするなどの精神障害』など更年期障害につらい症状に悩まされている人は多い。更年期障害のそれぞれの症状に応じた個別のアプローチは有効だ。なかでも日常生活ですぐ実践できるものを紹介しよう。
おっとりした人でも、更年期には興奮してイライラしやすくなったり、不安でたまらなくなったりする。
東邦大学医療センター大橋病院婦人科の高橋怜奈医師は、メンタルの不調に対し「更年期は必ず終わる」という心の余裕が必要だと指摘する。
「ホルモンバランスは薬でコントロールできますが、精神面の不調に対しては、心の持ちようが大きく影響します。とりわけ大事なのは、“あまり気にしない”こと。イライラしたり不安になっても“更年期は必ず終わるもの”だと心に刻んで、なるべくストレスを感じない生活を心がければ、メンタルの不調は落ち着いていくはずです」
更年期は一生続かない。「出口」を信じてリラックスすることを心がけたい。
更年期障害で最も多いといわれるホットフラッシュ(のぼせ・ほてり・発汗)には「運動」が効果的だ。
「ホットフラッシュは血流のバランスが悪くなって、血が頭部に上ることで生じるため、運動をして血流をよくすれば緩和できます。ただし過度の負荷や“やらなくちゃ”というプレッシャーが心身の負担を増して、症状が悪化する恐れがあります。決して無理はせず、ピラティスやヨガなどの軽い運動を行えば充分です」(高橋さん)
首や肩のコリは「入浴」によって改善する。成城松村クリニックの松村圭子院長はこう語る。
「38~39℃のお湯に10分ほど浸ると、血の流れがよくなります。半身浴か全身浴かは、リラックスできる方で構いません。シャワーだけで済ませるのではなく、湯船につかる習慣を身につけてください」
入浴が苦手なら、肩の力を抜いて2~3回ゆっくりと首を回すだけでも効果がある。手足や腰の冷えには「食材」で対応する。よしかた産婦人科副院長の善方裕美医師はこう解説する。
「体を温める食材を積極的に摂ることをおすすめします。にんじん、大根、ごぼうなどの根菜類は体を冷やしてしまう水分が少なく、血行を促進させるビタミンを多く含んでいます。体が温まって代謝が上がり、冷えをやっつけられます」
ほかにも食べておきたい食材は多い。