5月26日、これまでの5月の最高気温37.2度(1993年・埼玉県秩父市)を大きく超える39.5度を、北海道・佐呂間町で観測した。東京でも32.6度と記録を塗り替えたほか、5月中では初めて、3日連続で気温30度以上の真夏日が続いた。
総務省消防庁の発表によると、熱中症とみられる症状のため、5月20~26日の1週間だけで、全国で2053人(速報値)が救急搬送され、4人が死亡した。
例年の異常気象もあり、熱中症予防への関心は高い。「水分をしっかりとる」「塩分も大事」「外出時は帽子が必須」──そういった対策は、すでに常識となりつつあり、「散歩の時もゴルフ用の日傘を使っています」(68歳、男性)という人もいるほど意識は高まっている。
だが、その中には梅雨どきだと“逆効果”となってしまうものもある。
◆のどの渇きを感じない
前述したように、梅雨どきの熱中症対策では、「湿度」と「気化熱」がキーワードだ。真夏の熱中症予防法では、「タオルなどで汗をこまめに拭いてはいけない」とされている。熱中症予防対策に詳しい桐蔭横浜大学大学院教授の星秋夫氏が言う。
「体を頻繁に拭くと、蒸発して体温を下げる前に汗がなくなってしまう。だからこまめに拭かずに、あえて汗を残す方がいい。ところが、梅雨どきは湿度が高いせいで、発汗が多いとなかなか蒸発しない。定期的に汗を軽く拭き取った方が、効果的な体温調節が望めます」