例えば、ある心理学の実験では、謝罪の場面において金銭的、時間的コストをかけた謝罪の方が、コストをかけない謝罪よりも誠意を感じる傾向が高くなるという結果がある。恋愛の場面においてもそれと同じで、金銭的、時間的コストだけでなく、手間や気遣い、気配りといった精神的コストをどれだけ費やすかが、そのまま恋愛における真剣度合いや想いの強さ、誠実さや誠意とみなされやすい。これが「誠意のコスト」というわけだ。
洗いざらい白状したし、妻や家族が許せばいいのではと思うところもあるが、どうやら話はそう簡単に終わらない。なにせ今回の場合は、酔っぱらった挙句の情事でも、1回限りの過ちでもない。ファンの女性相手に車中不倫を繰り返していたことから、彼がケチったのは、ホテル代や食事代、自分の時間だけでなく、自分を慕い、ファンでいてくれる女性たちへの誠意までもケチったとみなされているのだ。
ここが会見でも問われ、原田さん自身が「5時に夢中!」(TOKYO MX)でいじったこともある“アパ不倫”が発覚した俳優の袴田吉彦さんとは違うところ。アパホテルを密会に利用し、ポイントを貯めていた袴田さんは、「ケチくさい」とか「セコイ」と非難されたが、「誠意をケチった」とは思われなかった。だから袴田さんは今、いじられながらの自虐ネタも、単に「ケチな話」として笑い飛ばせてしまうのだ。
「(袴田さんには)合わせる顔がないです」と苦い表情を浮かべ、「いじってもらったほうがいい」と話し、世話になっているという「ダウンタウンさんにもいじっていただくしかない」と苦笑いを浮かべて、レポーターたちの笑いを誘った原田さん。いじられて笑われることを禊にしたかったのなら、謝罪会見でこれは言わないほうがよかったのにと思うところだ。
彼のことを「バカな男」と見るか「雑な男」と見るかで会見の印象は違ってくるが、世の男性にとって、誠意のコストをケチると後が怖いという見本にはなるだろう。