汗で汚れた洗濯物の量が増える季節になった。これから梅雨シーズンが本格化すれば、さらに洗濯機を回す回数が増えてくる。
無論、洗濯洗剤が欠かせないわけだが、洗剤選びの基準は実に人それぞれ。店頭でいちばんお得なセール品を買っている人もいれば、長年愛用しているお気に入りがある人もいるだろう。
そもそも洗濯洗剤が広く使われるようになったのは、戦後、洗濯機の普及に合わせてだった。当初は粉洗剤のみだったが、1980年代に入ると、水でも溶けやすい液体洗剤が登場した。
そして近年は「第三の洗剤」といわれるボール型の固形ジェル洗剤も誕生。「抗菌」「部屋干し用」「濃縮」「脱臭」など、洗濯洗剤の実力も多様化している。
衣類やタオル、枕カバーなど毎日体に触れるものだからこそ、香りや手触りの心地よさはもちろん気になるが、健康への安全面も外せない。
しっかり汚れを落としながら、人体へのやさしさや安全性をも両立する洗濯洗剤選びとは、いったい何を基準にすればよいのだろうか。
◆健康への安心、環境へのやさしさ、洗浄力のすべてを兼ね備える「石けん洗剤」
安全かつ環境にもやさしいという観点から、専門家たちが口をそろえてすすめるのは、「石けん洗剤」だ。あいこ皮フ科クリニック院長の柴亜伊子さんが解説する。
「“石けん洗剤”は、いわゆる昔ながらの石けんで、牛脂、ヤシ油、オリーブ油などの動植物からとれる油脂を原料としています。これらを水と混ぜ、精製することによって出来上がります」
洗濯洗剤には「界面活性剤」と呼ばれる汚れと水をなじませる成分が含まれ、繊維の汚れを落とすためには必要不可欠だ。石けんも界面活性剤の一種だが、石けんの場合、前述の天然成分を原料にできていることから、人工的な物質を用いた「合成界面活性剤」配合の合成洗剤に比べ、健康に安心で、環境にもやさしいとされている。
25年前から石けん洗剤を取り入れている東京都小金井市にある白栄舎クリーニングの代表・茂木孝夫さんは、「石けん洗剤に替えたら、子供のアレルギーが改善したという人が多い」と話す。
「服を着ると体がかゆくなるとか、アトピー性皮膚炎の子供は、石けん洗剤に切り替えると症状がよくなるケースが多いのです。特に小さいお子さんは、合成洗剤による刺激や影響を受けやすいので、石けん洗剤を推奨しています。
石けん洗剤の成分表示を見ると、『石けん素地』、『カリ石けん素地』、『純石けん分(脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム)』といったシンプルな表示しかありません。反対に、成分表のなかで『石けん』という文字が筆頭に書かれていなければ、合成洗剤と考えてほぼ間違いありません」
添加物や合成物質に詳しいジャーナリストの郡司和夫さんも言う。