《母は大人だ。。96歳なんだから当然と言えば当然だけど、昨日は一日中俺と気まずい雰囲気でいたのに、今日は朝からシャツも着替えて明るい顔で店に入ってくる。そして昨日泣いたことなんか忘れたかの様に老老ブレックファースト(ゴボウ天WITH大根おろし&かいわれ、納豆、なすの漬け物、海苔、しじみの味噌汁)を美味しそうに食べてくれる。私の中に後悔と感謝が生まれる。もうこれ以上加齢臭について云うのはやめようか?》
《母の入れ歯はまだ見つからない。念の為、今日ももう一度室内を探してみたけど、どこにもなかったもんだから今日も母の老老ブレックファーストは鮭粥にヨーグルト、老老ディナーはたぬきうどんに寄せ豆腐なんて、殆ど流動食》
ほぼ毎日のように更新される長文のブログ。そこには、年老いた母の介護に悪戦苦闘する様子が自嘲気味に綴られている。
このブログの主は桃井章さん(71才)。桃井かおり(68才)の実兄である。
唯一無二の存在感を放つ国際派女優の桃井かおりは、才能にあふれる家族のなかで育った。父の真さんは国際政治学者として、母の悦子さんは芸術家として名をはせた。かおりには兄が2人、弟が1人おり、長男の章さんは現在も脚本家として活躍中だ。
父の真さんは2004年に他界。それを機に、かおりは米・ロサンゼルスに移住。ここを拠点に多数の映画に出演し、監督業でも手腕を発揮した。さらに、ロスに大きな一戸建てを購入。2015年には長年事実婚状態だった2才上の音楽プロデューサーと結婚し、悠々自適の生活を送っている。
一方その頃、都内の桃井家では、章さんが母親の在宅介護を引き受けていた。
「章さんは、3回の結婚と離婚を経て、現在は独身。お母さんは96才ですから、身の回りのお世話はやはり必要です。章さんが男手一つで、お母さんの介護をするのは並大抵のことではないでしょう」(桃井家の知人)
数々の著名人と浮き名を流し、“恋多き女”として知られたかおりだが、意外なことに、ロスに移住するまでは父母と同居していたのだという。
「かおりさんは、若い頃、ニューヨークや八ヶ岳の別荘に住んでいた時期もありましたが、結局は家に戻り、お父さんが亡くなるまではお母さんと3人で暮らしていたんです。だから、ロスに行ったといっても、かおりさんが東京に戻ってきてお母さんを見るものだとばかり思っていたんですが、章さんだったとは…」(前出・桃井家の知人)
章さんのブログには、仕事関係の話も出てくるものの、ほとんどの内容が朝から晩まで介護に追われる様子だ。
それによれば、章さんは母の体を気遣い、手作りの朝食や夕食を用意。まめに買い物に行き、母の好物を購入するなど、食事に心を砕く様子が記されている。
また、母の加齢臭が気になるため、嫌がる彼女を説得し、毎朝風呂を沸かして入浴させているという。自宅はビルになっているため、台所のある階と風呂のある階、母の部屋を何度も往復しなければならないのも70代の章さんにとっては負担のようだ。加えて、勘違いや物忘れが多い母との噛み合わない会話にいら立つ様子も描写されている。