芸能

『わた定』吉高由里子を光らせるユースケの鵺的不気味さ

「いつも定時で帰るのに仕事ができて人望も厚い」東山結衣役の吉高由里子

 1クールのドラマともなると、キャスティングや勢いだけでは乗り切れないもの。中盤に差し掛かれば作り込みの差が如実に表れてくる。ドラマ作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
『わたし、定時で帰ります。』(TBS系火曜日午後10時)の評判がうなぎ登り。ドラマ満足度調査(コンフィデンス)では第5話が84Pt(100Pt満点)と自己最高を更新し、さらに伸びそうな気配です。放送前の期待度は64Ptだそうですから、ぐんぐん視聴者を惹き付けていることが数字からも伝わってきます。

 まず見所は、主役・東山結衣を演じる吉高由里子の巧みな演技。「あのイライラの感覚、わかるわぁ」「結衣みたいな人が会社にいてほしい」「私の考え方とどこか重なる」と共感をかきたてる。現実的には結衣のように、定時で帰ることを宣言するのは難しいとしても、「こうあってほしい人物」として視聴者を納得させる存在になっています。

 眉毛や口元の表情、しぐさ、口調、考え方、行動。吉高さんご本人は「会社員の経験が一度もない」そうですが、ビジネスパーソンになりきり、しかしスーパーウーマンではない自然体のヒロインを出現させました。

 でも、吉高さん1人でドラマを光らせることはできないはず。結衣の存在に光を当てているのが、3人の男の存在でしょう。

 まず、結衣の上司・種田晃太郎を演じる向井理が魅力的です。種田という人物は複雑で仕事に没頭するあまり過労死寸前までいき結衣との結婚話も破局。しかし単なるワークホリック型人間かと思いきや、そうでもない。職場全体を観察し部下を思いやり、マネジメント力を発揮する成熟した仕事人の姿も見せていく。とは言ってもスーパーマンではなく、どこか陰りのある横顔。

 これまでのお仕事ドラマに登場する「仕事ができる人」は、たいていハキハキしていて表情は豊か、完璧さが強調される人物でした。ところが種田は胸のうちに挫折体験を静かにしまっている。秘めたる思いもある。酔った際につい「(結衣が)今でも好きです」と直球で吐露してしまう純粋さも。労働だけにのめり込んでいるのではないもう一人の自分を感じさせる。向井さんの独特の陰翳ある演技が効いています。

 種田を演じる向井さんに「ステキすぎてつらい」と絶賛する視聴者が続出し、種田が結衣を背負うシーンでは「種田さんにおんぶしてもらいたい」という悲鳴のような声があちこちから聞かれます。

 一方で、結衣の婚約者・諏訪巧を演じる中丸雄一も実にいい。家事もでき穏やかな人柄、物わかりが良くフェミニンな諏訪は優等生。種田との「対比」を考えてよく練り上げられた役作りは秀逸です。

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン