民法改正で7月1日から相続のルールが変わる。遺言書の書き方から相続税対策まで及ぶ改正のポイントに戸惑う人は多いが、税金のプロである税理士が賢く効率的に相続できるのは、制度の変更点よりも、まず「相続の基本」を押さえて備えているからだ。
税理士の関本秀治氏(88)がまず実践したのが「遺言書」の作成だ。
「相続は揉めることが多い。そこで顧客にも推奨しているのが必ず遺言書を残すこと。亡くなった後の遺族の争いを避けるためです」
遺言書には公証人役場で作成する「公正証書遺言」と自分で書く「自筆証書遺言」がある。関本氏は、自筆証書遺言を選んだ。
「公正証書は証人2人の立ち会いが必要な上、印鑑証明書や戸籍謄本、不動産登記簿謄本、固定資産税評価証明書など遺言書以外に用意しなければならない書類が多い。一方、自筆証書遺言は公証役場に行く必要もないし、面倒な書類を用意しなくてもいい」
今年1月からは、それまでは全て自筆しなければならなかった「財産目録」のワープロ作成が認められるようになり、作成のハードルは下がっている。加えて来年7月からは、自筆証書遺言を法務局で保管できるようになり、改ざん・トラブルの心配も少なくなる。
どちらの形式でも、遺言書は何度でも書き換え可能で、一番新しいものが有効になる。
遺言書に「財産の分け方」を記す際の具体的なテクニックもある。