国政選挙5連勝中の安倍晋三首相がこの夏の参院選も勝利すれば「総裁4選」が視野に入り、2024年まで政権を担う可能性が出てくる。だが、議席を減らせば党内で世代交代の動きが表面化する。自公連立の行方にも影響する。政治ジャーナリスト・野上忠興氏の指摘だ。
「公明党の支持基盤である創価学会は、会員の高齢化で選挙活動の運動量が急速に低下してきたと見られている。集票力の衰えが明らかになれば、選挙後に自民党内で改憲に前向きな維新などとの“連立組み換え”を求める声が強まる可能性もある」
一方、多弱状態の野党の中で存在感を高めているのがその日本維新の会だ。4月の大阪クロス選挙やその後の衆院補選で自民党候補を圧倒した勢いが全国に広がるかが注目点だ。
そうした選挙戦の縮図が参院選の東京選挙区(改選定数6)だ。自民党は当初、東京に3人の候補を擁立する方針だったが、候補者乱立の大混戦が予想される中で候補を2人に減らして「守りの選挙シフト」を敷いた。
そこで本誌は前出の野上氏、角谷浩一氏、鈴木哲夫氏という選挙情勢分析に定評がある政治ジャーナリスト3人に東京、大阪の議席と順位を予測してもらった。
東京選挙区は19人の出馬(6月6日時点)が予想される最激戦区だ。
識者3氏がそろって「当確」と見る1位候補が自民党の丸川珠代・元五輪相。6年前の参院選も約106万票でトップ当選だった。自民党からはもう一人、元厚労副大臣・武見敬三氏が出馬予定だが、こちらは苦戦が予想されている。
「本来なら自民票をうまく分け合えば2人とも十分当選圏内だが、6年前も自民党都連の代議士がほとんど丸川の応援に回り、武見は最下位でギリギリ当選した。今回、党が3人目の候補を立てなかったのは、武見と共倒れになるのを防ぐためだが、武見陣営は活動が低調だけに苦戦は免れそうにない」(鈴木氏)