テレビでよく見かける芸能人ならば、金銭的にはかなり潤っているから奇妙な仕事をする必要はないと誰もが思うだろう。ところが、のちに振り込め詐欺で逮捕されるグループの忘年会に複数の芸人が加わっていたことが発覚した。参加した側はノーギャラだったと証言しているが、招いた側は出演料を支払ったと主張している。有名芸能人が不自然な会社や団体と関わってしまう背景について、ライターの宮添優氏がレポートする。
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「ギャラを貰ってないなら余計に問題でしょ。それだけ“親密な仲”っていうことになるわけですからね」
お笑いコンビ・カラテカの入江慎也が、事務所を介さない「闇営業」を行なっていたとして、よしもとクリエイティブエージェンシーとの契約を解除された。2014年、都内のホテルで行われた特殊詐欺グループの忘年会に複数の吉本芸人が「出演」していたことが一部週刊誌報道で発覚。彼らが特殊詐欺で逮捕されたのは2015年で、2014年末は「詐欺グループ」だとは知らずに出席したと伝えられている。「ギャラも貰っていない」と弁明し、他の芸人へ参加を促した入江をのぞいた出席者は厳重注意となった。しかし、芸人側の証言通りなら、なお悪いのではという冒頭のコメントは、入江が関与していたクラブイベントの主催者の証言である。
「10年近く前の話ですが、渋谷の人気クラブ・Cで“芸人ナイト”と呼ばれるイベントが開催されていました。仕切っていたのは入江さんで、近くのホール(渋谷区)で出番を終えた売れない芸人がたくさん来ていましたよ。芸人はみんなノーギャラなんですが、VIPルームを貸し切ってタダ酒が飲めるし、可愛い女の子が大勢やってくる。もっとも、女の子が無理やり飲まされて…みたいなことも頻発して、このイベントは無くなってしまいました」(クラブイベント主催者)
入江は、こうしたイベントを通じて渋谷系雑誌の読者モデルらとも交流があり、そこからさらに彼らと交遊する“上”の組織関係者らと接点を持った可能性があるとも話す。
「イベントは誰でも参加できたから、芸人だけじゃなく、反社会勢力の人、今でいう“半グレ”もたくさん来てましたし、現役(暴力団)も少なくなかった。そういう人の前でも入江さんはサービス精神旺盛で、場がものすごく盛り上がった。渋谷の老舗クラブAでは、毎週のように入江さんを見ました。テレビでおなじみの芸人もよく見かけたし、有名ではない芸人も含めると、かなりの人数が来ていたはずです」(クラブイベント主催者)
みずから反社会勢力の人間ですと名乗ることはないので、芸人たちが同じ場所にいた彼らの素性を知っていたかどうかは分からない。だが、付き合いが長くなれば、何かを察していてもおかしくはなかったはずだと言われている。
元暴力団員で、渋谷のクラブ運営にも関わった経験があるというM氏(40代)は、半グレや暴力団などの反社会勢力がなぜ、芸人を呼びたがるのかについて、次のように解説をする。
「反社の連中は、詐欺などである程度の金を持つと、別の会社を立ち上げて表向きは“普通の会社”を運営しているように見せかけます。そして見栄っ張りだから、表向きの会社を利用してホテルを貸し切って忘年会したり、派手に遊ぶわけです。そういう時に、芸人やモデルなど、有名人が参加してくれれば格が上がるでしょう? 少なくとも、彼ら自身は格が上がると思っている。芸人を呼ぶには金だけじゃなくコネもいる。あいつらは芸能界にもコネがあるのか…なんて思わせれば、思い切り悦に浸ることができるのです」(M氏)