本格的な夏を前に、東京ではラーメン店による「冷やし麺」ブームが過熱している。「冷やし中華」や「冷やしラーメン」といった既存のジャンルでは括れない、新たなスタイルの創作系も続々と誕生。東京の冷やし麺シーンについて、ラーメン評論家の大崎裕史氏が解説する。
「冷やし麺は、ラーメン以上に自由な発想で変化にチャレンジできるメニューなんです。店主の遊び心を表現する創作系が増えているのが最近のトレンド。イタリアンやフレンチの影響も見られ、今夏は柑橘類や高級素材を使う店が目立ちますね」
大崎氏によると、昭和初期から冷やしラーメンがあった山形など地方と比べ、東京は20年前まで、「冷やし中華」以外のバリエーションが少なかったという。
約20年前に冷やし麺を夏に提供する先陣を切ったとされるのが1996年創業の『麺屋武蔵』グループ。今夏はタピオカを使うつけ麺で業界を牽引する。
「東京の冷やし麺の進化は非常に速い。本格的な夏に向け斬新なメニューが続々と登場すると思います。期間限定が大半なので、店が情報発信するSNSをチェックするとよいでしょう」
宮本武蔵が『五輪書』を執筆したという霊巌洞(れいがんどう)をイメージした『麺屋武蔵 五輪洞』は、「五感で楽しむ」がコンセプト。開店から初めて迎える夏に提供するのは、タピオカがスープにゴロゴロと入る、期間限定の冷やしつけ麺だ。