◆価値と魅力の新しさを
──社長就任にあたって「若年層の取り込み強化」を掲げた。
塩澤:「スーパードライ」が発売された32年前を振り返ってみると、大ヒットのムーブメントを盛り上げたのは、当時の若年層でした。当社の調査では、飲用者の8割の方が「従来のビールとは違う」と感じられたそうです。「美味しいか、そうでないか」「好きか、嫌いか」の前に「新しさ」を感じたからこそ、「スーパードライ」がブレイクしたわけです。
その当時の50~60代は、圧倒的にキリンビールさんの「ラガー」を飲まれていた。消費動向はどうしても年齢とともに保守的になってしまうので、そこはなかなか変えられない。だからこそ、若い世代のファンを獲得していくことが重要だったわけです。
翻って、当時の「スーパードライ」支持者だった若年層の方々が現在では50代から60代になってきていて、今なお「スーパードライ」の熱心なファンでいてくださっている。そこは維持しつつ、新しいお客様にもファンになっていただきたい。そうでないと、将来は先細る一方です。
──具体的な対策は?
塩澤:30代から40代の方々がビール消費のボリュームゾーンであることは間違いありません。ですが、子育てや教育、住宅ローンなどにお金がかかり、余裕がない世代でもある。ですから、この世代には「極上〈キレ味〉」「クリアアサヒ」などお求めやすい価格帯の新ジャンル(第3のビール)の商品で訴えていく。
一方、さらに若い20代は事情が異なります。この世代は30~40代に比べると経済的余裕がある。また「若者のビール離れ」が指摘されるように、缶チューハイなど他のお酒とビール類を比較した場合、ビール類の比率はそれほど高くありません。しかしビール類の中では発泡酒や新ジャンルではなく、ビールをチョイスすることが多いというデータがあります。さらに他の世代よりも外食の機会が圧倒的に多い。
こうした20代に向けて、もっとビールを楽しみながら、スタイリッシュに飲むご提案をしていきたい。