超低金利時代が続く中で、見落としがちなのが、老後資産を預ける「銀行口座」をどうするかという問題だ。
定年後に受け取る年金の口座選びは大きな分かれ目となる。年金を「貯蓄に回す」か、「生活資金に充てる」かによって変えるのが理想的だ。ある銀行OBが言う。
「私の場合、現役時代の蓄えもあり、年金を貯蓄に回す余裕があったので、『年金定期預金』に預けています。年金受取口座に指定した金融機関で金利の優遇が受けられる定期預金で、金利は一般の定期預金より30~50倍ほど高い(0.3~0.5%)。金融機関によって条件は異なりますが、100万~500万円程度の上限が定められています」
一方、年金を生活資金に充てる人についてはこうアドバイスする。
「地方銀行・信用金庫の口座を考えても良いでしょう。現役時代は、出先からでも預金を引き出しやすいメガバンクの口座が便利ですが、退職すると行動範囲が狭くなり、自宅周辺の地銀・信金の口座でも不都合は生じにくい。手数料を無料に設定していたり、特産品や割引券などの手厚いサービスが用意されている金融機関も多いので、その恩恵に与ることができます」(同前)
ただし、口座切り替えのタイミングは一度だけとは限らない。後期高齢者となる75歳をすぎると、口座選びにも「健康不安」への備えが必要になってくる。