映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、タレント・女優の浅田美代子が、結婚と離婚を経て芸能界に復帰し、映画『釣りバカ日誌』主人公の妻「みち子さん」の二代目として参加したことについて語った言葉をお届けする。浅田の他の代表作には『時間ですよ』や『寺内貫太郎一家』などがある。
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浅田美代子は一九七七年に結婚して芸能界を引退。その後、一九八三年の離婚を機に復帰している。
「二十八ぐらいで出戻ってきたんですよね。今と違ってあの当時は離婚ってもっと悪い印象があったのね。かわいそう──みたいな。それが凄く嫌で。
仕事も『かわいそうな役』ばかり来るんです。幸薄い役。そういうのは絶対に嫌なので、なるべくやらないようにしていました。それで仕事があまりできなくなって、親に借金までしていました。そういう『嫌だ、嫌だ』と我慢していた時代があって、そのうちに『からくりTV』とかがあって、それで救われたのかもしれません」
九四年の『釣りバカ日誌7』から、西田敏行扮する主人公「ハマちゃん」の妻「みち子さん」の二代目として参加。〇九年の最終作まで演じ続けた。
「これも悩みましたね。『7』からでしたから。『6』までは違う人がやっていて、その印象が絶対にできているわけですよ。途中で代わると大体は『前の方がよかった』と言われるじゃないですか。それに『合体』とかあるけど、私は色っぽくないし、どうなんだろうと思っていたんですよ。
でも、たまたま弟が漫画の原作を読んでいたから私も知ってはいたのね。映画は観ていなかったんですけど。そうしたら、原作者の北見けんいちさんが『イメージは最初、浅田さんだったんですよ』って言ってくれたので、『あっ、できるかも』って思ったんですよ。たしかに、漫画の方はポニーテールを結っていたりして、そんな色っぽい感じではなかったですからね」