警察や軍関係の内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た警官の日常や刑事の捜査活動などにおける驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、海外で身の危険を感じた際のセオリーについて、米軍関係者が語る。
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「身の危険を感じたら、迷わずアメリカ大使館に駆け込みなさい」
10年ほど前のことだ。ある仕事でロシアに行く予定があると話すと、交流のあった米軍中佐が真面目な顔でこう言った。
どういうことか聞くと、彼はこう答えた。
「あなたは“敵性外国人”ではないが、誤解されやすい。敵性外国人と思われたら、ロシアは何をするかわからない。危ないと思ったら、すぐにアメリカ大使館に駆け込みなさい。私が話を通しておきます」
仕事柄、様々な国の情報筋の人間と交流があるのは確かだった。軍人だからこそ“敵性外国人”という言葉でその危険度を表してくれたのだ。
それより数年前、ワシントンDCに本部を置くCSIS(戦略国際問題研究所)の上級研究員の知人から、突然連絡があった。
「おまえ、中国政府に敵性外国人とみなされているぞ。ブラックリストに名前が挙がっている」
CSISとは、外交や安全保障分野を中心に政策提言などを行っている超党派のシンクタンクである。CSISが持っている情報網と情報量、情報収集能力や分析体制には計り知れないものがある。私ごときの情報などあまりに小さなものではあるが、それゆえにそのすごさを実感した出来事だった。
「ブラックリストに名前が挙がっている間は絶対に行くな。行ったら、その場で捕まる。いいな、中国には絶対、行くな」
名前が中国政府のブラックリストに上がっていると聞き、驚いた反面、思い当たる節はあった。深セン市政府の有力者の子弟が日本に留学するための保証人を頼まれ、断っていたのだ。経済特区だった深セン市の発展はすさまじく、それだけに彼らは金も権力も持っていた。
その後、有力者たちは汚職で摘発され、政府から一掃された。自分の名前もブラックリストから外された。
話を戻そう。