政府は、6月11日発表の「経済財政の基本方針(骨太の方針)」で、働く高齢者の年金を減額する「在職老齢年金制度」の“廃止”を打ち出した。早ければ2021年にも廃止されるとの見方が有力だ。
現在、60~64歳までは月給と年金の合計収入が28万円、65歳以上は47万円を超えると働き続ける限り年金がカット(支給停止)される。この在職老齢年金の仕組みによって、年金を減らされている人は約124万人にのぼり、毎年約1.1兆円もの年金が支給停止されている。それを廃止し、“いくら稼いでも年金を減額せずに満額受け取れるようにします”というのである。早ければ2021年に廃止となるとの見方が有力だ。
在老廃止の影響は世代によって違いがある。図を見ていただきたい。男性の場合、最も恩恵を受けるのが年金受給を控えた現在59歳から62歳までの世代だ。
この世代は65歳になる前に“得する年金”と呼ばれる厚生年金の特別支給(報酬比例部分)が始まるが、前述のように在職老齢年金は「60~65歳未満」の人が最も大きく年金を減らされる。そのため、現行制度のままであれば、特別支給の年金を全額受け取るためには、短時間勤務などで月給を低く抑える必要がある。
しかし、2021年までに在老が廃止されれば、どれだけ稼いでも特別支給の年金を減額されなくなる。フルタイムで働き、給料と年金を全額受け取ることでこれまでとは段違いに「老後資金」を増やすチャンスが広がる。
◆63歳以上でも働ける