芸人らによる「闇営業」騒動は、雨上がり決死隊・宮迫博之が100万円をもらっていた、という証言も出てきて、「もらっていない」という説明との食い違いが出てきた。闇営業自体は事務所からすれば由々しき事態ではあるものの、時に「事務所公認闇営業」もあると編集者の中川淳一郎氏は述べる。同氏はこれまで芸人と多くの仕事をしてきた。通常の芸人との仕事の流れと、「事務所公認闇営業」について解説する。
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私が仕事をお願いした芸能人で圧倒的に多いのは芸人です。何しろ彼らは下積み時代が長いことも影響するのか、驚くほど仕事に真面目に取り組んでくれますし、過剰ともいえるサービス精神を発揮してくれます。
以前、芸人のギャグがいかに誕生したか、という連載の担当をしていたのですが、思い出深いのは、おさる(現モンキッキー)さんに話を聞いた時のことです。
「すんまそん」というギャグなのですが、元々交際していた外国人女性が「すいません(すんません)」を「すんまそん」と言っていたので面白がって使っていたらギャグになった、という話でした。彼女と別れることになった時におさるさんは彼女に「『すんまそん』もあなたに返そうか?」と聞いたら「あれはもうあなたの言葉だからそのまま使って」と言われた話です。
あとは、カンニングの取材をしたのですが、中島忠幸さんが当時惣菜店の仕事があったため、取材に遅刻したんですよ。事情は分かっていたので、竹山隆範さんから先に話を聞いていたのですが、竹山さんは常に時計を気にしている。「気にしないでいいですよ」と言うのに、竹山さんは「本当に遅れて申し訳ありません」と恐縮しきり。中島さんが20分遅れぐらいでやってきた時は「こら、中島、ちゃんと謝れよ、遅れてさぁ。こうして取材をしてもらっているのに」と言い、我々は「そんな、気にしないでください」と返すしかありませんでした。
脱線しましたが、こうしたことのほか、「カップラーメンにチョイ足ししたらウマいものを見つけてみた」みたいな企画ではトリオの芸人にカップラーメン20種類を食べてもらったりしたこともあります。あとは、ミュージシャン男性と女性芸人のお見合い企画なんかもやったことがあります。
こうした仕事は、事務所に連絡をし、その都度、取材謝礼や出演料を振り込むことになります。トリオでも「1組」扱いで、ギャラはピン芸人と変わりません。そうこうしているうちに、私も芸人3人の雑誌連載コラムを担当することになったのですが、そのうちの2人とはプライベートでも付き合うようになるんですよね。
そうすると、ようやく広告宣伝ができるようになった規模の会社の宣伝担当者などから、「あなたは●●さんと親しいから、事務所を通さずに、格安で今度の広告企画に●●さんに出てもらえませんか? もちろん、仲介手数料は払います」なんて悪魔の囁きが来たこともあります。