「新しい上司と馬が合わない」「若手社員にどう接していいか分からない」──サラリーマンにはそうした悩みが付き物だが、プロ野球という“ビジネスの世界”でも、上司と部下の入れ替わりが付き物だ。新監督を迎えたチームでも、昨年に比べて「伸びた選手」と「調子を落とした選手」がハッキリしてきた。
矢野燿大・監督が就任した阪神では、長年の課題だった4番打者に大山悠輔(24)が固定されている。
野球評論家の金村義明氏が指摘する。
「矢野監督は、インタビューでも『キーマン』や『誰に期待している』ということは一切言わない。全員に期待しているという雰囲気を醸し出しているが、唯一決めているのが、大山を4番に座らせ続けること。僕も大山の成績で順位が決まると思っているが、その期待に大山がよくついていっている。こうやって若手が育つんだと思いますね」
打率.306と好調をキープする正捕手・梅野隆太郎(28)の活躍も際立つ。
「昨年、二軍を率いた矢野監督は、梅野よりも坂本誠志郎(25)のリードを評価していた。梅野は“なにくそ”という精神で、キャンプから結果を残し、矢野監督にレギュラーとして認めさせたんです。9回裏にサヨナラ勝ちを決めた6月9日の日本ハム戦では、逆転のきっかけになる三盗を決めて矢野監督を男泣きさせましたからね」(金村氏)
そのように、矢野監督が自ら感情を表に出すことで、昨季までの金本知憲・前監督に比べ、「ベンチの雰囲気が明るくなった」とも言われる。在阪スポーツ紙デスクが明かす。