コンビニ大手のキャッチフレーズといえば、セブン‐イレブンが「近くて便利」、ファミリーマートが「あなたとコンビに」、そしてローソンが「マチの健康ステーション」だった。だったと過去形なのは、ローソンでは今年4月、「マチの健康ステーション」から「マチのほっとステーション」に“戻した”からだ。その理由とは? 経済ジャーナリストの河野圭祐氏がレポートする。
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ローソンが「マチのほっとステーション」から「マチの健康ステーション」にキャッチフレーズを変更したのは、2013年10月のことだ。当時の新浪剛史CEO(現・サントリーホールディングス社長)、玉塚元一COO(現・デジタルハーツホールディングス社長)が出席した、ローソンの中間決算説明会の場で発表している。
当時、このローソンの“健康シフト”宣言は並々ならぬ意思を感じさせ、新浪氏が「地域社会から頼られる健康長寿ステーションになる」と語れば、玉塚氏も「病気などの予防マーケットはデカい。われわれはこのポジションを取りに行く」と表明。そこで報じられたのが、健康志向に振った「ナチュラルローソン」を5年後に3000店まで増やすという大きな目標だった。
ローソン側も当時、「特に女性からの期待値が高い『ナチュラルローソン』は店舗数を大幅に増やしていかないとコストが下がっていかない。働く女性はこれからも間違いなく増えるのだから、『ナチュラルローソン』を増やすのは自明の理」(新浪氏)と意気込みを見せていたのだが、2013年10月時点で首都圏に約110店を展開していた「ナチュラルローソン」は、今年2月末で139店と微増程度で、昨年2月末と比較すると、逆に4店の減少になっている。
「(首位のセブン‐イレブンと)同じようなゲームはしないし、同じ土俵に上がってもいけない。コンビニはアメーバのように変わっていく」(新浪氏)と語っていたように、ローソンの真骨頂はある種、コンビニの多業態化にあったのだが、「ナチュラルローソン」とは別に立ち上げた、シニアや高齢者層を意識した品ぞろえが特徴で、オレンジの看板を掲げた「ローソンプラス」もいつしか解消の道を辿っている。
また、「ナチュラルローソン」にしても過去、2004年に一度、よりとんがった存在にするため、別会社として切り出してみたものの、3年後の2007年には再びローソン本体に吸収と、試行錯誤の歴史がある。