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在老廃止 年金繰り下げ受給のデメリットが小さくなる

在職老齢年金の廃止は60歳以降の働き方の常識を変える

 政府は、6月11日発表の「経済財政の基本方針(骨太の方針)」で、働く高齢者の年金を減額する「在職老齢年金制度」(在老)の“廃止”を打ち出した。現在、60~64歳までは月給と年金の合計収入が28万円、65歳以上は47万円を超えると働き続ける限り年金がカット(支給停止)される。早ければ2021年に廃止となる。

 在職老齢年金によるカットが廃止されることで、「得する年金術」の常識も大きく変わることを知っておきたい。

 年金を70歳まで繰り下げて受給すると、毎月の年金額は42%増える。だが、現行制度では当座の資金に余裕がある人が繰り下げを選んでも、「思いのほか年金が増えない」という事態に陥ることがある。

 なぜ、「思いのほか増えない」と思うのかといえば、これは在職老齢年金が原因だ。65歳以上の人が働きながら年金を受け取る場合、カットとなる基準は、「毎月の給料と年金の合計が47万円以上」に変わる。社会保険労務士の北山茂治氏が解説する。

「この基準を超えるのは、企業の役員クラスなどに限られますが、“どうせカットされるなら繰り下げて年金を増やそう”と考えても、思い通りにはいきません。『カットされたはずの年金は繰り下げても増えない』という仕組みがあるからです」

 65歳で月給50万円、年金の報酬比例部分が月額10万円の場合。65歳から年金を受け取ろうとすると、6万5000円がカットされる(ケース【6】)。

「繰り下げ」のデメリットも小さくなる

 

「これを繰り下げても、増額されるのは“カットされなかった年金3万5000円分”だけ。本来、月額10万円の年金を5年繰り下げれば14万2000円になるところ、11万4700円にしかならない」(北山氏)

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