うまい話には裏がある、と平常心なら判断できる。ところが、窮地に追い込まれていたり、欲に目が眩むと、そんなに都合が良いばかりの話があるはずない、という判断ができなくなる。街角に貼られた高額報酬をうたう仕事の募集ポスターにつられ、結局は損をさせられた男性たちの体験談を、ライターの宮添優氏がレポートする。
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「男性高額報酬」
「富裕女性のエスコート」
「女性社長のお相手募集」
繁華街の裏通りに、自動販売機や電柱に、このような甘い文言とともに貼り付けられた怪しい広告。
額面通りに受け取れば「富裕層女性のお相手をして報酬がもらえる」ということだろうが、にわかには信じがたい。
でも万が一ということもある…。そう考えた読者も多いかもしれないが、今回、実際にこうした業務を経験したという男性三人に話を聞いてみた。
甘いマスクに180センチ超の身長を誇る、神奈川県在住で会社員のTさん(30代)。大学生の頃、今でいうガールズバーの男性版「サパークラブ」で働いた経験もあり、複数の女性に貢がせたこともある。そんな“成功体験”が忘れられないのか、「飲む打つ買う」がやめられなかった。
「その日も、仕事を早めに切り上げてパチンコに行ったんですが、8万円もスッたんですよ。いつもならそのままスナックやキャバクラで飲むんですが、金もないし路地裏の喫煙所で飲んでいたんです。するとすぐ横の壁に“あのポスター”が貼ってあり、電話してみるかと…」(Tさん)
パチンコで負け、半ば自暴自棄気味にポスターに書いてある連絡先に電話をかけたTさん。スマホの向こうから聞こえてきたのは、どこにでもいるような「おじさんの声」だった。
「信じちゃいませんが、仮にも“高級女性”のお相手を募集しているのなら、それなりの人が出てくるのかと思ってたんです。でも、裏風俗の呼び込みみたいな“兄ちゃん、金に困ってんの?”って。よく話を聞いていくと、金持ちのおばさんや女社長の相手をする仕事はあるにはあるが、面接が厳しいと。ルックスだけでなく教養もいる、でもそうした条件がいらない仕事もあって、日払いの風俗店員、ドライバー。やる気があるなら今日にでも働けるって…。要は、金に困った人たちを、ナイトワークに斡旋する業者だったんですよ」(Tさん)