政府は、6月11日発表の「経済財政の基本方針(骨太の方針)」で、働く高齢者の年金を減額する「在職老齢年金制度」(在老)の“廃止”を打ち出した。現在、60~64歳までは月給と年金の合計収入が28万円、65歳以上は47万円を超えると働き続ける限り年金がカット(支給停止)される。早ければ2021年に廃止となるとの見方が有力だ。
在職老齢年金によるカットが廃止されることで、「得する年金術」の常識も大きく変わることを知っておきたい。たとえば、本誌・週刊ポストがこれまで「働きながら年金を満額受給する方法」として紹介してきた「厚生年金に加入しない働き方」だ。社会保険労務士の北山茂治氏が解説する。
「働く60代以上の年金をカットする在職老齢年金の仕組みは、あくまで『厚生年金の加入者』が対象の制度です。つまり年金カットを避けるには、厚生年金に加入しなければいい。定年後に働き続ける場合、会社に再雇用されるのではなく、個人事業主として『業務請負契約』を結ぶ働き方が実現できれば、いくら稼いでも年金がカットされることはありません」
図解は、63歳から月額10万円の特別支給の老齢年金を受け取れる人が、同じ「月25万円」を稼いだ場合に、その働き方によって65歳までの総収入がどう変わるかを示したものだ。