「子供が喜ぶから」と食卓にウインナソーセージを出したり、「手軽だから」と朝食にハムサンドイッチを食べていないだろうか? 医師や専門家は、それらの「加工肉食品」を「食べない方がいい」と断言している。添加物による病気や食中毒のリスクなど、加工肉食品の危険な落とし穴を明かす。
2015年10月、世界保健機関(WHO)の外部組織にあたる国際がん研究機関(IARC)は、「加工肉や赤肉には、発がん性のリスクが高い」との調査結果を発表した。
IARCは加工肉を「グループ1」、赤肉を「グループ2」に分類し、「加工肉を継続して毎日50g摂取すると、大腸がんのリスクが18%増える。赤肉は加工肉ほどの強い証拠はないが、毎日継続して100g摂取すると、大腸がんのリスクが17%増える」と発表している。
◆おいしそうなハムは発色剤が添加されている
IARCの調査結果では、赤肉より、加工肉の方が危険度が高いとされている。その理由を消費者問題研究所代表の垣田達哉さんが解説する。
「IARCは、なぜ加工肉の方がリスクが高くなるのかという原因の発表はしていません。一般的に考えれば、加工肉と赤肉の違いは、添加物の有無です。加工肉には、発色剤(亜硝酸塩)、リン酸塩などの添加物が使われていることが多いのです」
食品ジャーナリストの郡司和夫さんは、加工肉に使われる添加物の中でも、「亜硝酸塩は最も危険」と指摘する。
「亜硝酸塩は、別の物質と組み合わさると毒性が高まる『相乗毒性』があるとわかっています。人の胃の中や食肉そのものにも含まれる『アミン類』という物質と組み合わさると『ニトロソ化合物』という、強い発がん性物質ができる。すでに、欧州では規制しようという動きがあります。
それなのになぜ亜硝酸塩を使うのか。それは、肉に残っているヘモグロビンと反応して、肉がきれいなピンク色になるためです。これから夏になると豚肉は見た目が水っぽくなり、品質が悪い肉も増えますが、亜硝酸塩を使えば、おいしそうに見せることができるのです」
一方で、亜硝酸塩には食中毒の原因となるボツリヌス菌の増殖抑制効果があるともいわれている。
「ボツリヌス菌は、腸管出血性大腸菌のO157を引き起こす恐ろしい菌で、亜硝酸塩に抑制効果があることは確かです。しかし、今は工場の衛生管理もしっかりしていて、亜硝酸塩を使わなくても、充分安全な加工肉を作ることは可能です。実際に、亜硝酸塩を使用していないハムやソーセージは数多く出回っていて、食中毒は起こっていません」(郡司さん)
目を引く真っ赤なソーセージも危険だと垣田さんが言う。
「『赤107』『黄106』のように、色と数字を組み合わせた名称のものを『タール系着色料』といいます。昔はコールタールから作られていましたが、今は石油製品から化学的に作られています。発がん性のリスクがあるものや、子供の発達障害と関連があるとされるアルミニウムが含まれているものがあります」
◆色素と結着剤は…
タール系以外でも、色素は注意したい。