プロ野球交流戦は、今年もパ・リーグの圧勝だった。2005年の交流戦開始以降、セ・リーグが勝ち越したのは2009年の1度だけ。14度も負け越している。その背景には何があるのか。野球担当記者が話す。
「セ・リーグは交流戦前に『5割で乗り切れればいい』という監督がほとんど。戦う前から1位になろうという気がない。シーズン開幕前、『今年は5割でいい』なんていう監督がいたら、ファンから批判されるでしょう。しかし、交流戦に限っては、ファンですら5割で御の字と思っているフシがある。両リーグのレベルの差は明らかなんです。15年で勝ち越し1度、負け越し14度。相撲なら格が全く違うと判断され、取り組みがなくてもおかしくない対戦成績です」(以下同)
なぜ、これほどまでに差が開いているのか。
「ドラフトでパ・リーグにばかり良い選手が入るという現象はありますが、1番大きいのはやはり指名打者(DH)制でしょう。投手が9番に入るセ・リーグ、投手の代わりに大砲がDHに入るパ・リーグでは、投手の鍛えられ方が全く違う。戦力均衡を考えるなら、セも一刻も早くDH制を導入すべきです」
パ・リーグは長年観客数に苦しみ、1960年代から70年代に掛けて、東京オリオンズ、東映フライヤーズ、西鉄ライオンズなど球団の身売りも相次いでいた。人気回復策の一環として、1975年にDH制を導入した。
「予告先発やクライマックスシリーズなど今ではセ・リーグも導入している制度は、いずれもパ・リーグが先に始めた。人気のない時代に、どうすれば観客を集められるかを考えての知恵でした。その努力の結果、今では人気もセに負けないほどになってきた。それなのに、セはまだ歴史に胡座をかいていると言わざるを得ません」