オレオレ詐欺などの特殊詐欺が横行している。驚くべきことに、こうした詐欺に関わり検挙されたのは84%が10代と20代であった(神奈川県警察調べ)。
その多くが小遣い欲しさや、顔見知りの紹介で断れなかったなどの理由で、安易に詐欺行為に手を染めている。つまり、子供たちにとって他人事ではないのだ。
もし詐欺行為を行ってしまったら、そこから抜け出すにはどうしたらいいのか。詐欺や悪徳商法に詳しいジャーナリスト・多田文明さんはこう語る。
「10代20代の場合は特に、親に打ち明けるのがいちばん。詐欺グループは、学生証などの身分証明書のコピーを握っていて、やめようとするとSNSに個人情報をさらすなどと脅すケースが多いので、ひとりで解決するのは難しいんです」
親に打ち明け、自首して犯罪から抜け出すのが確実だ。そのためには日頃から、親子のコミュニケーションが必要となる。
未成年者が逮捕され、もっとも重い処分は、成人同様に裁判にかけられる「検察官送致」で、次が「少年院送致」だ。ただし、親の行動次第で処分が変わることもあるという。弁護士法人シトワイヤン代表弁護士の堀井準さんはこう語る。
「逮捕され、勾留が決定すると、未成年者には国選弁護人がつきますが、親が選んだ弁護士を『私選弁護人』としてつけることも可能です。そして、早急に被害者弁済をすべく、お金の工面を。本人に詐欺の自覚がなかったとしても被害を与えたのは事実。被害額全額を弁済する必要があります」
犯罪の代償はお金の問題だけではない。平成30年1~9月までに、神奈川県警察が逮捕したオレオレ詐欺被疑者96人のアンケート回答「捕まったことにより支払った代償」を見ると、以下のような回答が見られる。
「高校の卒業式に出られず、入学が決まっていた専門学校の入学が取り消された」
「家族が引っ越した」
「詐欺グループから何かされるのではないかと毎日ビクビクしながら生活している」
「少年鑑別所に行くことになってしまった」
捜査段階で子供と面会できる場合は、「あなたが帰ってきても、絶対に責めない」と、叱らずに受け入れ、知っていることを包み隠さず話して捜査に協力するよう説得しよう。未成年者が家庭裁判所(以下、家裁)に送致された後、親は家裁に呼ばれ、調査官と面談する。