中国の首都、北京で中国人民解放軍の82歳の元女性パイロットが6月初旬、約30年ぶりに飛行機を操縦し、40分間の飛行を行ったことが話題を呼んでいる。しかも、彼女は今後、民間の商業飛行のライセンスを得るために、30時間の飛行訓練を受ける予定だという。80歳以上の女性が民間の飛行ライセンスを得るのは世界でも初めてで、快挙がなるかどうかに注目が集まっている。中国の英字紙「チャイナ・デイリー」が報じた。
この女性は苗暁紅氏で、1951年、軍の第1期女性パイロット養成プログラム14人のうちの1人に選抜され、山東省済南市の空軍学校に入学。専門的な訓練や教育を受けて、5年後の1956年、卒業試験にも合格し、さらに、2年間の高度な実戦プログラムを終了し、1958年には晴れて任務に就くことになった。
とくに思い出深い任務は河北省全域が洪水に見舞われた際、食糧などの緊急物資を空中から被災現場に投下することだった。当時は地上100mほどが厚い雲に覆われており、目標地点が分かりにくい状態だったが、難しいミッションを成功させたという。
苗氏は1989年、52歳で軍を引退。これまでの経験を生かして、自身の経験を中心にした著書を出版し、軍の女性パイロット第1期生の存在を世に知らしめた。
その後、他の国々では、少なからぬ高齢者が飛行機を操縦していることを知り、自分も再度操縦に挑戦することを決意。30年ぶりに飛行する2か月前から、1日3000歩のウォーキングをしたり、操縦で不可欠な腕力を鍛えるなど、様々な鍛練を積み、この日の飛行に臨んだ。