今、テレビ業界で最も注目を集める時間帯は“日曜夜”だという。多くの人気番組がひしめくこの枠が激変しているというのだ。いったい何が起こっているのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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このところ、「『ポツン』が視聴率20%超え」「『イッテQ!』のロケ中にケガ続出」「『いだてん』が最低視聴率更新」「『池の水ぜんぶ抜く』が失速」などと日曜夜のテレビ番組に関するニュースが続いています。
『ポツンと一軒家』(テレビ朝日系)を除くとネガティブな話題が目立つものの、日曜夜の番組は高視聴率がズラリ。先週の視聴率ランキングを見ると、バラエティー番組で『ポツンと一軒家』が20.7%、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)が17.3%、『笑点』(日本テレビ系)が17.0%、『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)が14.0%、『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)が13.5%、『ナニコレ珍百景』(テレビ朝日系)が13.3%と、トップ10のうち6番組を占めています(ビデオリサーチ、関東地区、6月17日~23日)。
その他も、情報・教養番組では『真相報道バンキシャ!』(日本テレビ系)が13.4%。ドラマでは『集団左遷!!』(TBS系)が13.1%、『日曜プライム・法医学教室の事件ファイルスペシャル』(テレビ朝日系)が11.7%。アニメでは『サザエさん』(フジテレビ系)が11.9%を記録。一週間の中でも、日曜夜の番組が視聴率ランキング上位を席巻しているのです。
◆日テレを追うテレ朝の成功に、フジとTBSが追随
もともと日曜夜は、日本テレビが『ザ!鉄腕!DASH!!』、『世界の果てまでイッテQ!』、『行列のできる法律相談所』という1時間番組を3つ並べることで成功を収めていました。テレビ朝日、TBS、フジテレビは、日本テレビへの対抗策として「1時間番組を2時間特番として隔週で交互に放送する」という方法を採用していましたが、日本テレビ優位の状況は変わらなかったのです。
しかし、昨秋スタートのテレビ朝日『ポツンと一軒家』が高視聴率を記録し、それに引っ張られるように前番組の『ナニコレ珍百景』も高水準をキープしていることで、他局が徐々に追随。4月からフジテレビが2時間特番ではなく、『ジャンクSPORTS』、『でんじろうのTHE実験』、『アオハルTV』を1時間ずつ放送するという編成が少しずつ増えているのです。6月に入ると、ついにTBSも2時間特番ではなく、『坂上&指原のつぶれない店』、『消えた天才』、ドラマ『日曜劇場』と1時間~1時間30分の番組を続けるようになりました。
これまで2時間特番を乱発しすぎたことで“特別感”がなくなり、視聴習慣がつきにくいため視聴率は低迷。しかしテレビマンたちは、「それでも毎週放送の1時間番組では日テレに歯が立たない」とみてなかなか踏み切れませんでしたが、『ポツンと一軒家』の大成功をきっかけにようやく変わったのです。
注目すべきは、「日曜以外の曜日では、いまだに多くの2時間特番が放送されている」こと。なぜ民放各局は、日曜だけ1時間番組を放送しているのでしょうか?
◆日曜夜の番組はテレビ局の生命線