「ホテル暮らし」と聞くと、有名人が自宅代わりに都内の一流ホテルに長期滞在しているようなイメージを持つが、近年はホテル業態の多様化やライフスタイルの変化、訪日外国人の増加も相まって、中・長期の利用が可能なホテルも増えた。ホテル評論家の瀧澤信秋氏が、さまざまな泊まり方を提案するホテルの進化形態をレポートする。
* * *
ホテルが多様化する中、本来の“宿泊”についても従来見られなかったサービスが目立つようになった。
まず、特徴的なワードとして挙げたいのが「タイムシェア」。そもそもタイムシェアという言葉は、ハワイなどのリゾートにあるコンドミニアムホテルを1週間単位で購入し物件を共有するスタイルのことを指す。
一方、最近日本で用いられるホテルのタイムシェアというワードは、一定期間(長期)のタイムシェアといった意味とは異なり、“短時間利用を可能にするサービス”を指す場合が多い。一般的なチェックイン○○時~チェックアウト○○時というのではなく、「24時間のうち〇時間利用可能」「○○時~○○時の間の○時間利用可能」といったスタイルである。
ホテルの短時間利用はいまに始まったことではなく、レジャーホテル(ラブホテル)では2時間、3時間といった休憩利用は一般的だ。最近では「デイユース」などと呼ばれ、ビジネスホテルなどでもプランを見かけるようになった。デイユースは男女が特定の目的に短時間利用することもあれば、サラリーマン単身での仮眠・休憩利用も多いという。日中、都心で静かに仕事するために利用するという人もいる。
短時間利用のタイムシェアスタイルはカプセルホテルでも見られる。進化系カプセルホテルとして人気の「豪華カプセルホテル安心お宿」では、“お昼寝(デイユース)プラン”として、「お昼から深夜まで、いつでも予約可能」と公式サイトで大々的に謳っている。気軽に利用できる点では、よりタイムシェア向きの業態であろう。
また、レンタルルームや漫画喫茶なども一定の時間にプライベート空間が提供され、“ホテルがライバル”と掲げる店もあるが、法律的に宿泊業との差異のひとつが寝具の有無。また、空間の仕切りや分煙などの点も施設の利用に際しては考慮したい。いずれにしても料金が安価なのは大きな特色だ。