G20大阪サミットが終わるやいなや、安倍政権の“伝家の宝刀”が抜かれた。7月1日、日本政府は、有機ELや半導体製品の製造に用いるフッ化ポリイミドとレジスト(感光材)、エッチングガス(フッ化水素)の3品目について、輸出許可の申請を簡略化する優遇措置の対象から韓国をはずすと発表し、4日から発動した。さらに8月からは、米国、ドイツ、オーストラリアなど安全保障上の友好国27か国を対象に輸出の際の手続きや審査を省略している「ホワイト国」からも韓国を除外する方針だ。
日本政府は、それらは元徴用工訴訟に対する制裁ではなく、あくまで法に則った対処だとの立場である。「優遇措置をやめるだけ」で「輸出を許可しない」と言っているわけではないという理屈だ。
ただ、8月にホワイト国からはずれれば、許可申請には約90日かかるようになる。日本経済新聞(2019年7月2日付)の報道によれば、〈日本の輸出審査にかかる時間は約3カ月が標準で、これが韓国勢の生産に影響を及ぼす可能性がある。材料の在庫量は通常、1~2カ月分〉で、韓国の半導体製造会社SKハイニックスの関係者は日経新聞の取材に〈同社の在庫量は「3カ月は無い」〉と答えたという。
日本側の措置は、今すぐ許可申請をしてギリギリ間に合うかどうかという線(おそらく間に合わない)を狙ったものと考えられる。材料がなくなり工場のラインが止まる期間が長引けば、韓国企業は大きな損害を被る。
輸出に依存する韓国経済の屋台骨を支えているのは、韓国の輸出額全体の21%(2018年、韓国貿易協会)を占めるサムスン電子やSKハイニックスなどの半導体企業だ。それだけに、韓国側の衝撃はかなり大きかったようだ。