6月23日(日)に行なわれた宝塚記念を勝ったのはまたしてもクラブ法人馬主(一口馬主)のリスグラシューだった。1口7万5000円で400口。総額3000万円の馬がすでに7億円近くも稼いでいる。競馬歴40年のライター・東田和美氏が、「一口馬主は儲かるのですか?」という、よく訊かれる質問への答えを考えた。
* * *
一口馬主を続けていてよく訊かれるのは「儲かるのですか?」。
たしかにリスグラシューのような馬だけに出資していれば、維持費や税金を差し引いてもかなりの配当を手にすることができる。毎年のようにGI馬に出資しているという会員もいないわけではない。
しかし、それ以上に「儲からないなあ」と頭をかいている会員が多いはず。そして「それでもやめられない」という会員も同じぐらいいる。
1歳春に実際に馬体を見て出資を決め、その後は成長や馴致・調教の過程を逐一チェック、時には牧場に会いに行くこともある。2歳春になって馬名が決まり、トレセンに入厩してゲート試験に合格してデビュー戦を迎える。函館・札幌だろうが、小倉だろうが、何を差し置いても応援に出かけ、運良く勝てば、大観衆の前で愛馬や騎手とウィナーズサークルで記念の口取り写真撮影。一口馬主の口取り参加は、ある時期行なわれていなかったが、平成16(2004)年から人数などの条件付きで許可されるようになった。
みな馬券も的中しているはずで、同じ馬に出資する者同士が喜びを分かち合う一時は、なんともいえない幸福な時間となる。しばらくたつと口数に応じて賞金の入金があり、馬は昇級して次のステージへ。最終的に目指すのはGI勝利……この楽しみは何物にも代えがたいが、そもそも「勝つ」ことは容易ではない。