芸人の闇営業問題が連日、ニュースとして報じられているが、ヤクザ取材を専門にしてきたノンフィクション作家の溝口敦氏とフリーライターの鈴木智彦氏は、その狂騒ぶりに強い違和感を抱いている。今のテレビや新聞の記者は会社として暴力団との接触を禁じられているが、それは相手に抱き込まれてしまった人が実際に出てくるからだ。取材者として暴力団とはどのように向き合うのが望ましいのか、2人が語り合った。
鈴木:確かに、マスコミの中で抱き込まれてしまった人間がいたのも事実です。ある九州の暴力団なんて、地元テレビ局のディレクターを相当抱き込んでいました。極端に偏向した報道をさせるようにするわけです。
溝口:それと、記者を情報収集に使う。
鈴木:記者クラブを使って、「逮捕になりそうか」とか「指名手配になっているか」とか、警察に聞いてこさせる。もっとも本当にちゃんとした情報を得られることは滅多にないんだけど。ただ情報というのはバーターだから、暴力団側の情報も記者に出す。そういうことをやっているうちに、抱き込まれていく。
2016年12月に、フジテレビの社会部記者が、暴力団関係者に外車を購入する際の名義貸しをしていたことが発覚して問題になりました。一説では有名芸能人の覚せい剤事件に関する情報をもらっていて、そのバーターで何かしろってことになったとか。