2分け1敗、グループリーグ敗退。招待国として参加したコパ・アメリカ(南米選手権)での、サッカー日本代表の成績だ。東京オリンピックとW杯予選に向けて森保ジャパンが得たものは何だったのだろうか。
サッカー戦術分析ブログ「サッカーの面白い戦術分析を心がけます」を主宰し、著書『アナリシス・アイ』を上梓したらいかーると氏はコパ・アメリカをどう見たか。個々の試合に関しては同氏のブログ(http://building-up.com)に譲り、個々人の評価と大会全体の評価を聞いた。
◆2列目のスタメン争いが激化
──森保ジャパンの主力、中島翔哉の印象は。
残念ながら粗が目立ってしまった大会でした。南米の強豪が相手だと、ドリブルが巧みな中島でも抜けない場面が多く、守備では彼のいる左サイドが狙われていました。1戦目のチリ戦や3戦目のエクアドル戦が顕著で、前からボールを奪いに行く展開の時は行ったまま戻ってこない。結果的に左サイドは空きがちでした。
──現代のサッカーでは、前線の選手にも守備力が求められます。
恐らく森保監督も「下がれ」と指示はしていると思います。それでも下がってこない場面に関しては、おそらく今はあえて放置しているのではないかと思います。中島が下がってこないならばそれに応じた解決策を練ればいいのですが、それを今から完成させると対戦相手に研究されてしまう懸念があるからでしょう。
──一方、右サイドハーフの三好康児は2得点で強烈な印象を残しました。
もともとドリブルが上手い選手でしたが、ここ数年でポジショニングが非常に良くなり、高い技術を活かしてチャンスメイクができるようになったと考えています。
三好はその世代では主力として計算されてきましたが、突然キャラが被っている久保(建英)が出現。同じ左利きで、同じような仕事をしているだけに、焦ったと思います。三好の中では「ここでやらなきゃいつやるんだ」という思いがあったのでしょう。
──三好がA代表に定着する可能性はありますか?
現状では、堂安(律)よりも良いと思います。堂安は中島に似て、相手の嫌がるプレーよりも自分のやりたいことを優先しがちです。一方、三好や久保は、「勝つために何をすべきか」から逆算してプレーする選手です。彼らのような選手がコパ・アメリカで可能性を感じさせたので、今まで不動だった2列目のスタメン争いは必至です。