日本経済を不況が襲うたび、企業は“社員の血”を流して窮地を脱してきた。だが、そうしたリストラが奏功したかどうかについて、「長期的視点での検証」はなされていない。
日本型企業の最大の特性でもあった「終身雇用」が揺らいでいる中で、今後“人減らし経営”はさらに加速していくものと見られている。
そこで、本誌・週刊ポストは、企業の信用調査をもとにデータベース事業などを行なう東京商工リサーチの協力をもとに、リストラ実施企業の「業績変化」成績表(別掲)を作成。経済ジャーナリストの福田俊之氏に、各企業のリストラの「成功と失敗」を3段階で評価してもらった。その結果、明暗が分かれたのが自動車業界だ。
「『日産自動車』は、“コストカッター”として20年にわたって君臨し続けたカルロス・ゴーン前会長による経営の“負の側面”が顕在化しつつあります。
死に体寸前から村山工場の閉鎖など大胆なリストラでV字回復を達成したまではよかったが、資本提携した仏ルノーとの結びつきが強くなりすぎ、企業としての独立性が保てなくなったり、拡大戦略を急ぎ過ぎたことがマイナスに働いている」(福田氏)
その日産とアライアンスを組む「三菱自動車工業」は、2000年代前半のリコール隠蔽事件に端を発して業績が悪化し、リストラに踏み切った。